MURASAKI
井上ゆかりのMURASAKI 。ライブで聴いてその場で買い求めたアルバム。気に入ってよく聴いている。ピアノの音色に艶があって、演奏もカラフル。ピアノを歌わせることにかけては、ピカ一ではないだろうか。
オリジナルの標題曲は日本的なテーマを持ちながら転調を繰り返す、スケールの大きな曲。日本の伝統的な面と現代的な面を描いているよう。華やかなYou are my everything やしっとりと情緒的なSome other time など、スタンダード曲の解釈も素晴らしい。
千葉流 サムライへの道
JJサニー千葉(元千葉真一)の幼少時から体操の選手として東京五輪を目指すが、怪我で断念し、東映の俳優になり、アクション俳優として大成しと、ハリウッドの拠点を置く今までを駆け足で振り返っている。リスペクトした深作欣二、高倉健、大山倍達、そして弟子筋の真田広之、志穂美悦子、伊原剛志、堤真一らとの交流もさらりと書いている。
著者が一番ページを割いたのは、意外にも新渡戸稲造の「武士道」についてだった。更に、この「武士道」を翻案してハリウッドで映画化したいと希望を書くまで、のめり込んでいる。活動の場所をアメリカに移したJJサニー千葉にとっては、「武士道」に自己の日本人としてのアイデンティティを見つけ出したようだ。
ただ、日本国内に住んでいると、そこまで「日本人」としてのアイデンティティは必要とされないので、我々からみると多少上滑りしている感はいがめない。
当時の東映の裏話や「キーハンター」の裏話はそんなにないので、そちらが好きな方はご遠慮された方がいいと思います。
ブラームス:交響曲第1番~のだめカンタービレ
難しいですね。
多少、ストーリーの内容に合わせてアレンジされていると思いますけど、
良くも悪くも「正確で上手な演奏」だと思います。教材の演奏を聴いているみたいです。
整っていてキレイですけどストーリーの様な熱さや奇抜さはないので
リアルなオケの「魅せる」ような生き生きとした演奏を期待されている方は好きになれないかもしれないですね。
個人的には生き生きとした演奏が好きなのでこれに録音されている演奏は好きにはなれませんが
下手にぶっ飛んでるよりは良いので、聞き心地は悪くないというのが私の感想です。
ただ、企画モノなのにちゃんとした演奏をされているのは非常に良い事だと思います。
<東映オールスターキャンペーン>魔界転生 [DVD]
《時代劇の最高傑作は主演以外全て祟られた》
魔界転生は窪塚主演のもの以外にVシネマや舞台等、数々作品化されてきたが、原初である本作の魅力には到底及ばない。これは監督や演者、脚本家、サウンドトラック作曲者等、全てに於いて初代の当作品が優れているため。
特に魔界衆のキャラが皆、際立っている。おどろおどろしさの中に過去の悲しみやしがらみを背負った様子を、静的・動的に上手く表現している。
沢田研二と真田広之のキスシーンも全く違和感がない。
また、ラストシーンの炎の中での決闘は映画史に残るシーンと言ってもいいほど。火傷しないのが不思議な位。
尚、当時、この作品の紹介記事等を読まれた方は記憶にあると思うが、ガラシャ役に最初決まっていた女優は原因不明の高熱で降板、宝蔵院役はスタジオの天井からの重量のある大道具の不自然な落下により、足の指の骨が砕かれ、真田は一人だけ食あたりを起こし、沢田は火傷を負い、その他の出演者やスタッフにも禍が降り掛かっている。ただ一人無事だったのは主演の千葉慎一。
志穂美悦子が天草役を演じた舞台では、演者に害はなかったが、小道具類が不自然な壊れ方をする等があった。
つまり、霊的(に見える)反応が起こるほど、この映画は傑作だということ。
あまりにもリアルな演出の映画だったため、俳優が演じた歴史上の人物が「我々の眠りを妨げるな」と、演者たちを呪った、とでも言うのだろうか(by「ほんとにあった呪いのビデオ」ナレーター)。