蟲師 二十六譚 DVD Complete BOX
作品の好き嫌いはさておき、これはマンガのアニメ化としては理想に近い作品ではないだろうか。絵、雰囲気、演出、音楽、声優さんの演技etc...あらゆる点においてスキがない。これほど原作の持つ良さを生かして、さらにアニメならではの付加価値のある作品ってのは、そんなにはないと思う。原作を超えてるといっても過言ではないでしょう。
マイベスト3は、第二話「瞼の光」、第四話「枕小路」、第七話「雨がくる虹がたつ」かな。第十二話「眇の魚」、第十九話「天辺の糸」も大好き。最近の作品としては珍しく、毎回質の高いアイデアで勝負してるのは高く評価されていい。
蟲師(10) (アフタヌーンKC)
長いこと続いてきたギンコの旅の物語の、最終巻。ふだんは斜に構えて本を読む私だが、不覚にも感動してしまった。1巻でのぎこちなさから見ると目覚しい進歩を遂げられた作者に、惜しみのない賞賛の言葉を贈りたい。素敵な物語世界に導いてくれて、本当にありがとうございました。
自分らしくなくてかなり照れくさいが、読者がいる限りギンコの旅は続き、この不可思議な世界はいつまでも確かなものとして存在し続けるだろう。
追記:やっぱり私らしく書き足すことにする。日本はもう完璧に「光脈筋」から外れたね。原因がヌシにあるのか、ヒトにあるのかは置いといて。
蟲師 大友克洋完全監修 蟲箱 [DVD]
大友克洋が大の苦手なので原作ファンでオダギリファンにもかかわらず見ていませんでした。
激しく後悔しています、劇場で見ておけばよかった!
オダギリのゲゲゲの鬼太郎みたいな髪型は変だけど、それ以外は蒼井優ちゃんも建物も森も空も田んぼも村人たちもみんなしっとりして優しくてとてもきれい。
うまいしかっこいいけど全く美しさも水分もないマンガを描いていた人がこんな映画を撮ったのか!
まさか同名異人?とまで思うほど。
だって世界トップレベルのマンガを描いていた人がそれに比べたらずいぶんとマイナーなマンガ家の「知る人ぞ知る」作品を実写映画化って、考えてみたらおかしいし。
もしかして、大友克洋ってかっこつけて情感を排したマンガを描いて素朴な読者を傷つけてたわけじゃなく、描けなかったのか?
それを外人や外人にあこがれる日本人が勘違いして持ちあげてた?
それはともかく。
美しい日本を映像にしてくれてありがとう、大友さん。
世間的には受けなかったみたいだけど、私、微力ながら布教して回りますよ、いい映画だから、DVDでいいから見てみて、って。
蟲師 オリジナル・サウンドトラック 蟲音 前
私は、『蟲師』は原作・テレビアニメ版・実写映画版のいずれも観ていません。このサントラを買ったのは、レビューの評判が高かったからです。
「和風」を特別強調している訳ではないのに、ちゃんと「和風」になっているんです。『The Sore Feet Song』(TVサイズ)も、英語なのに嫌味が無く懐かしい感じさえします。皆さんが想像される『蟲師』の世界が表現されているんじゃないでしょうか。私はジブリを連想しました。テレビアニメ版の評判が高い理由も分かりました。今迄『蟲師』を知らなかったのですが、『蟲師』に興味を持ちました。
サントラという枠を外しても音楽としての完成度が高いので、『蟲師』を知らなくても(自分もそうだし)アンビエントやヒーリングを求めている人にお薦めします。
蟲師(9) (アフタヌーンKC)
前の第8巻から、ちょうど一年ぶりの刊行となる『蟲師』第9巻。なつかしい手触りの中に、切なさと優しさが滲む味わいは、この最新刊でも健在。話の中に、すーっと引き込まれる感じで、ギンコのさすらいの旅の物語に親しむことができました。
五つの収録作品のマイ・ベストは、「壷天(こてん)の星」。何かがいる気配はあるのに、自分以外に誰もいない家で暮らすひとりの少女。<この家に 私は一人で住んでいる><私には見えない何かが ここには居る><この頃は あまり怖くなくなった><たぶん 神様みたいなものだと思う><ここは もう ずっと夜だ>の文章と、山奥の家のひっそりと静まり返った中でひとり、食事をとる少女の絵。ミステリアスな雰囲気のある出だしから、ひたひたと胸に迫ってくる不思議な話の香りが、よかったなあ。作中、<―――ただいま>の一言が、心にじんわりとしみました。
続いて、ギンコの少年時代のエピソードを綴った作品、「草の茵(しとね)」の話が忘れがたい。この世に自分の居場所を見つけられず、疎外感を抱いている少年ギンコの姿が、妙に寂しげにゆらめいて描かれていたところ。印象に残るものがありました。
このほか、「残り紅(べに)」「風巻(しまき)立つ」「水碧む(あおむ)」を収録。
いつもながら、ギンコを描いたカバーのカラー・イラストが素敵ですねぇ。表紙カバーを外して、壁に留めて飾っておきたい気持ち。