Damage Done (Reis) (Dlx)
日本でDARK TRANQUILLITYが騒がれるようになったのは1994~1995年に遡る。1stアルバム『SKYDANCER』(1993)が輸入盤市場を席巻し、ミニアルバム『OF CHAOS AND ETERNALNIGHT』(1995)は2ndアルバム『THE GALLRY』(1995)への期待を昂らせた。僕もレコード屋に何度も足を運び『THE GALLRY』の輸入盤を早速手に入れ聴いたものだ。冒頭の「Punish my heaven」という曲がいかに衝撃的であったか…初めてスラッシュメタルを聴いた衝撃に近い革命であった。DARK TRANQUILLITYはIN FLAMESと並びメロディック・デスメタルの創世記を切り開いたバンドなのである。本作『DAMAGE DONE』はデビューから10年目、6枚目のアルバムである。IN FLAMESやARCH ENEMYが巨匠の域(?)に入ったのに対し、DARK TRANQUILLITYは地味な存在だ。4thアルバム『PROJECTOR』が日本で酷評の対象になるという不幸があった。同時期、欧州ではゴシック・メタルに象徴されるヘヴィ・メタルの耽美化という流れがあり、『PROJECTOR』はその流れに沿った彼らなりの作品であった。今や、どのバンドにも散見されるクリーン・ウ゛ォイスを部分的に導入したのも必然的手法であったが、日本のファンからは背信的行為とうつったようだ。一方、欧州において『PROJECTOR』は話題作であり彼らの知名度を上げた作品であった。やがて支持はアメリカまで拡大していくが、彼らの支持が世界的に根強く10年以上もメンバーを殆ど変えることなく活動を継続できたのは、彼らがメロディック・デスメタルの開拓者であるからであり、化石的存在だからであろう。『DAMAGE DONE』はメロディックデスメタルという原点に戻り、音楽的ウ゛ァリエーションには乏しいもののスピード、ヘヴィネス、美しいギターワーク、そしてミカエル・スタンネの「美声」をとことん追求した本物のメロデスである。本作がさらに耽美と激しさを深め、初期にみられたプログレッシブ・ロックに通じる曲展開が絡めば、巨匠として世界中から正当な評価を得ることは間違いない。
IN FLAMEASのヴィジュアル監督(?)ニクラス・サンディンのアートワークも素晴らしい。
Where Death Is Most Alive [DVD] [Import]
Dark Tranquillityの2008年イタリアミラノ公演を収録したライブDVD。
各楽曲の持つ世界観を高クオリティで再現したライブで、バンドパフォーマンスは素晴らしく、オーディエンスもノリノリで盛り上げます♪
ただ序盤数曲はミカエルの喉の調子が悪いです。途中から持ち直しますが。それでも決して盛り下げない所はさすがベテランといった感じです。
まさに理想のライブで、特に『Misery's Crown』や、Key加入でさらに雰囲気アップの『Lethe』、ライブでまさか再現するとは思わなかった『The Mundane And The Magic』は感涙ものでした。
ファンはもちろん、新規の方にも断然オススメの作品です。
ライヴ・ダメージ [DVD]
2002年10月7日、「Damage done」に伴うツアーで、ポーランドはクラコウでのライヴを収録したDVD。2004年発売。
彼らのアルバムは一作ごとに新しいことに挑戦し、非常にバラエティに富んでいるが、こうして新旧の曲をまとめて聴くとやはりきちんと一貫している。
曲もいい。演奏も上手い。選曲も2ndから6thまで新旧織り交ぜたもの。
多くの経験を積み非常にステージ慣れしているというか、特にミカエル(vo)はその長身痩躯と長い手足を生かした非常にステージ栄えのするパフォーマンスで観客を沸かせている。てかほんとよく動くな、ミカエルは(笑)
アルバムではそのほのかな暗さ、冷たさ、美しさがバンドの最大の持ち味となっているが、それとは対照的にメンバー全員非常に“熱い”ステージを繰り広げている。
照明も非常に効果的で、その激しくも美しい曲と、メンバーのダイナミックな動きを華麗に演出している。
ただ、音量が終始一定していないのと、客の入りがあまりにも寂しいのと、キーボードのマーティンの二重あごが気になった。
バンドのプレイや内容は完璧なのに、客席後方ががらがらなのはちょっと……(笑)
Fiction
前作より約2年ぶり、8枚目になる本作は
現在の彼らの充実ぶりが伺える非常に素晴らしい内容となった。
「Damage Done」〜「Character」と続く路線の集大成のような、バラエティ豊かで魅力的な楽曲が並ぶ。
アグレッシブな「Nothing To No One」「Blind At Heart」「Empty Me」「Focus Shift」も良いが、
「Icipher」「Inside TheParticle Storm」「Misery's Crown」などミディアム/スローなナンバーに、
今回は優れた曲が多いと思う。
ギターの扇情的なリフは相変わらずかっこいいし、
いくつかの曲で見せるギターソロも美しくて印象的。
また、MikaelのVoも素晴らしい。これほどグロウル・ボイスで表情豊かに歌えるVoも希有だろう。
そして本作では、キーボードの絶妙な入り方がアクセントとなっている。
COBのように強烈に自己主張するタイプのキーボードではないが、
ここぞというときに奏でられる叙情的なメロディが心に響く。
各パートが各々食い合う事なく、見事なバランスで楽曲を構成しているのは
まさに今、バンドが充実期であることの証明といえる。
惜しむらくは音質。クリアなのだが、楽器の音に厚みがない。
特にパコパコのドラムの音はいただけない。
彼らやIn Flamesはいつも音質で損をしているように感じるので、
願わくばAndy Sneapのようなエンジニアと一度仕事をしてもらいたい。
内容は文句なしの出来だが、音質分星一つ控えさせていただくことにします。
Mind's I / Enter Suicide Angels (Bonus CD)
前作がすごすぎたので、あまり高く評価されていませんが、作品としての完成度は高いです。泣きメロが好きな方におすすめです。