心の旅
新聞で書評を読み、まず惹かれたのは「ギリシャの猫」が写っていると知ったから。
出会ったのは、こんなミーハーな気持ちがきっかけだったけど、
ページをめくるうちに かわいい猫もさることながら、
やさしい色合いに 裸の心を感じた。
うまくまとめられないけれど、
がんばらない、天の恵み、そこにいるだけでいい、美しい、
やさしい、静かにほほえんでいる、
といった言葉が浮かんでくる。
ずいぶんとボリュームのあるページをめくり終わり
前文に戻る。
率直な・静かに・素直な気持ちを感じる著者の文章に
また 写真のいろいろを 反芻し、
忙しい毎日を思い返し、しみじみとなる。
ホテルのベットにもぐりこんできた子猫が
毛布にくるまっている。
ギリシャの写真集というと、青と白のコントラストが強すぎる、
きっと実際もそうなんだろうけど、
猫も これでもか!というような 目が思わず留まってしまう
ポージング、だったりして主張の強い写真集が多いけれど、
この一冊は違った。
瀬戸内海みたいと感じたほどの やさしい自然なギリシャの島々。
そばを犬が通り抜けたり、男の子が隣にちょこんと座っていても
ほとんどポーズが変わらない猫の3枚の写真。
世界って、こんなところもあるんだよな。
ゆっくりと たしかに時間をすごしたい。
きっとギリシャには、写真集が写し取った時間が
そのままあるに違いない。
ボリュームが多く、
コストパフォーマンスもすばらしい一冊です。