建礼門院右京大夫 (朝日文芸文庫)
右京大夫と平家の御曹司、資盛との恋愛模様を軸に展開する物語です。短歌が随所に盛り込まれていて、長編なので最初は読みづらいこともありますが、彼女(右京)の素直で愛すべき性格や徐々に展開される平家の運命の中での資盛との関係が、徐々に深くなっていく様はとてもある意味、真実味にあふれています。二人が恋愛によって徐々に大人になっていくのです。
最後のあたりの梅にまつわるエピソードは、切なくて切なくてほんとに名場面です。運命というものを考えてしまいます。
軽い恋愛模様ではなく、しっかりと地に足のついた人間恋愛を読みたい方にはおすすめだと思います。