なせば成る!―続・おれについてこい (1964年) (ハウ・ツウ・ブックス)
「東洋の魔女」を育てた泣く子も黙る「鬼の大松」が書いた本。『おれについてこい!』に続
く二冊目になる。まとめて読んだが、いわゆるスポ根ものとしてというより、時代の空気を知
るという意味合いで読むほうが面白い。
気合が無心の域にまで達すると身体まで変わっていく状況は、人間という装置の発掘されざる
可能性を垣間見させてくれる。会社員としての仕事をしながら一日10時間も珍しくない猛烈な
練習を盆暮れの休みすらなく何年も続ける、その際の摂取栄養が一日25〜2600kcalであったと
いうが、永平寺で修行する雲水が一日1500kcalで生きているのと同様、スポーツ科学糞喰らえ
といった何かがそこにはある。
スポーツに限ることはない、集団でする必要もない、ただし、人生の中でこれに類する感覚を
持てるかどうかで、その人の人生はだいぶ変わるだろうなぁと、二桁ほど違うものの似た感覚
を持ったことのある立場として観ずる次第。