搾取される若者たち ―バイク便ライダーは見た! (集英社新書)
自分も身近でワーカホリックに陥っている若者たちを見たことがあったので、興味深く読むことが出来ました。
非正規雇用の下でワーカホリックに陥る彼らは、お金のためではなく、猛烈に働くことによる達成感・疲労感に自己陶酔しているように見えました。
これは、若者たちが“会社”に守られていた時代では、むしろ幸せなことだったのかもしれません。
しかし、もはや“会社”が守ってはくれない今の時代では、それが本当に自分のためになっているのかをよく考えるべきだと思います。
本書には、若者が自ら進んでワーカホリックに至るまでの過程とその危険性が著者の体験を基に書かれており、このようなテーマを選んだことは賞賛に値すると思います。
ただ、結論ありきでストーリーを作ったような軽さが感じられたのが残念です。
バイク便ライダーという、この問題の極地ともいえる過酷な職業を体験した著者には、読んでいて苦しくなるような文章を書いて欲しかったです。
その方が、著者の主張もより深く伝わるのではないでしょうか。