ヴィヴァルディ:四季/ピアソラ:ブエノスアイレスの四季(デシャトニコフ編曲)他
この演奏会、本当に良かったのでCD化を待っていました。
いつものお上品なOEKとは一味違ってこの日はとても情熱的かつ軽快で、かといって放縦な演奏ではなく「ヴィヴァルディってヘビーメタルの原型?」と感じるくらいノリがよかった。ピアソラとヴィヴァルディをつないでいくところの均整がとれていて緊張感あふれる演奏でした。CDでもその雰囲気は損なわれていません。ダウスさんがスパニッシュ・ジャケットをおしゃれに着こなしてすごくカッコよかったことが思い出されます。
ただひとつだけ残念なのは、アンコールの最後に演奏されたペレチス「すべて歴史のごとく」が入っていないことです。確かダウスさんが“故岩城さんに捧げます”と言って演奏されたと記憶しています。このCDのテーマから外れるので除外されたのだと思いますが、ボーナストラックで入れてほしかったと、ライブを聴いた一人として欲張りなコメントをしておきます。
ブエノスアイレス飛行記
レスリー・チャン、トニー・レオン主演の映画「ブエノスアイレス」のカメラマン、クリストファー・ドイルが綴る写真日記。
何と言っても、彼の映像同様に写真もスタイリッシュで、映画を観た人ならパラパラと写真を眺めているだけでも楽しめる。
撮影と平行して書かれた日記なので撮影の裏話や、撮影中の絶品ショットが満載。映画「ブエノスアイレス」の大ファン、出演者のファンなら1冊持っていても損はない。
ブエノスアイレス [DVD]
トニー・レオンとレスリー・チャンが祖国台湾のちょうど裏側にあたる南米ブエノスアイレスで紡ぐ愛と喪失の物語。
冒頭、いきなりの二人の堂々たるベットシーンにのけぞりそうになるので、同性愛に抵抗のある方は要注意。レスリーが自由奔放で恋人を振り回す小悪魔的なキャラで、トニーはそんな我儘な彼を、限りない包容力で包み込みながらも、同時にいつ自分の元から飛び去っていくかわからないレスリーに対して、絶えず嫉妬心や独占欲にさいなまれている。傷つけあい、別れても、最後の拠り所であるかのように自分の元に帰ってくるレスリーを、トニーは振り捨てることができない。
可哀想な役が本当に似合うトニーの、切なさと苦悩に満ちた表情がいい。レスリーの危なっかしく退廃的な魅力は、母性本能をくすぐる。
ピアソラの情熱的で哀愁に満ちた曲に合わせて二人がしなやかにタンゴを踊るシーンが心に焼き付いている。
ラスト、去っていったトニーを思って彼の部屋でむせび泣くレスリーの姿が切ない。その数年後に、自ら命を断った俳優レスリー・チャンの哀しみとだぶってしまう。
今でもあの混沌としたけだるい南米の街で、彼がさまよいながら恋人を待っている、そんな気がしてならない。 愛してやまない映画である。
ブエノスアイレス【字幕版】 [VHS]
それぞれの意見で違うと思うのですが、この映画は、ひとくちでいうと、「愛の死と新たな出発の物語」というところでしょうか。 映像も綺麗だし、ウィンと再び出会ったところから幸せなファイの心情をあらわすかのように画面がカラーになったり、、と色々工夫されていると思います。 でも、どうしてだか、私はそんなに好きになれませんでした。 ファイという一人の人間の成長を通して「愛の死と新たな出発の物語」という主題を描き出したかったのかもしれないけど、感動を覚えなかった。
幻獣辞典 (晶文社クラシックス)
知っている人は知っている。知らない人はまったく知らない。古今東西、世界中の想像上の生き物を蒐集し、まとめた一冊です。原典にまでさかのぼっている調べているところといい、これはまさに「蒐集」と書くにふさわしい。
バハムート、バンシー、バジリスク、ベヒーモス、ケンタウロス、ケルベロス、チェシャ猫、キマイラ、八岐大蛇、エルフ、フェアリー、ノーム、ゴーレム、ハンババ、クジャタ、マンドレイク、ミノタウロス、セイレーン、スフィンクス、饕餮(トウテツ)などなど。
スフィンクスやセイレーン、ケンタウロスのようなわりと知られている(?)怪物たちだけでなく、東洋と西洋の竜のイメージの違いや中国の饕餮(トウテツ)まで触れられているのがすさまじい。ちなみに饕餮(トウテツ)は「大食らい」の意味で、人間の悪徳の化身として戒めるためにも使われるそうです。