J.S. バッハ & レーガー: 無伴奏ヴァイオリン作品集 (Bach & Reger : Works for violin solo / Sayaka Shoji violin) (2CD) [日本語解説付輸入盤] [Import CD from France]
CDを購入して以来、ほぼ毎日聴いているが、1か月たっても飽きない。
実をいうとバッハの無伴奏に初めて出会ったのは、もう35年も前になる。私は下宿で毎日シェリングの演奏を聴いていた。そして忘れもしない、当のシェリングが来日し、この曲を演奏したのである。鈴鹿ホールに行って、聴いて、それ以来、私にとってバッハの無伴奏はシェリングだけとなったのである。
他の演奏家もいろいろ聴いてみたが、どうも物足らない。要するに、シェリングの演奏の二番煎じに聞こえてしまうのである。
だが、この演奏は、それらとは全く違っていた。最初、ソナタを聴いた時、何か違う曲を弾いているのではないかと思った。そして、楽譜を引っ張り出して、音符を追って確かにソナタであることを確認したのである。それにしても何と清々しい音の響きとリズムだろう。これほど大胆にリズムを動かしながら何の破綻も奇抜さも感じさせない。最初から、そのような曲であるかのように弾いている。
大体において、バッハのソナタ1番は暗く単調な音楽で面白みに欠ける構成である。1楽章の間延びしたリズム、2楽章のバイオリンのメカニズムを無視した重音の連続、3楽章のシシリアーノとは思えない息苦しさ。これは多分チェンバロで弾くべき曲なのだろう。
しかし、楽譜を追って、なるほどこういう解釈で弾けば、この曲の重苦しい軛から解放され、清々しい楽曲になるのだと納得がいった。
さて、レーガーである。他の方も言っておられるように、どうしてこのような曲の構成にしたのか全く不可解としか言いようがない。バランスとしては、レーガーの曲をもっと増やし、バッハはソナタだけにした方がまとまりがよかったと考える。もちろん、バッハのパルティータのできが悪いと言っているのではない。むしろ逆で、パルティータの素晴らしさは特筆に値する。だが、まずレーガーとバッハのソナタをもっと聴きたいのである。これまであまり評価されてこなかった、これら素晴らしい曲の魅力を、彼女の手によって余すところなく知りたいと熱望する。これは、おそらく彼女のファンの身勝手な要求だろう。おそらく、パルティータが入っていなければいないで、この書評でパルティータを入れろと私は書いていただろう。それほど、バッハのパルティータは妖しい魅力を秘めた曲なのである。
さて、他の方がこのCDの録音について大変評価していたが、それは私も賛成である。
しかし、音響が素晴らしく聴こえるのは録音のせいばかりではない。彼女はバイオリンの音が美しく響くように細心の注意を払って演奏を組み立てているのである。特にパルティータでは、彼女はほとんどビブラートをかけていない。要所でかすかに効果音としてビブラートをかけている他はすべてノンビブラートである。これは楽器を弾く者から言わせてもらうと驚異の演奏である。バイオリンやフルート、オーボエなどは、まず美しいビブラートを身につけなければ人前で演奏することはできない。音に華やかさを加え、曲想に変化をつけるのもビブラートの重要な役割である。同時に不確かな音程や不安定な音色をうまく隠してくれるのもビブラートである。しかし、ビブラートは音程を微妙にずらすものなので、純粋な音と比べるとどうしても音の伸びが悪く、特に数人で重奏するとビブラートの波長が重なって音を濁らせてしまう。そこで、最近は室内楽を中心にノンビブラートで演奏する例が増えてきた。音程とリズムが完璧に合いさえすれば、ノンビブラートの合奏は信じられないほど美しい響きを出すことができる。しかし、ソロ演奏においてこれを試みるというのは考えられないことで、ほとんど暴挙といっても差し支えない。公式のパーティーに女性が敢えてノーメークで出席するようなものである。
彼女のビブラートの美しさは、先に出したベートーヴェンのソナタでも証明済みである。その美しいビブラートを封印してまで、彼女は何を表現したかったのだろう。バッハの音楽の厳密な構成を純粋な音で再現することにより、全く濁りのないバッハの世界を表現したかったのかもしれない。結果として、非常にクリヤーで美しいバッハの音楽となり、先にあげたように美しい録音だとの評価を得た訳である。
注意して聴いてみれば分かることだが、彼女の音程は完璧である。長く伸ばした単音がどこまでも滑らかに、ごく自然に響いてホールの残響の中に吸い込まれていく。重音の響きが耳に優しく、特にパルティータ2番SARABANDAでは、ともすればくどくなりがちな重音をさらりと弾いて曲のもつアンニュイな雰囲気をよく保っている。ソナタ1番のFUGAでは連続する重音をそれぞれ曲想に合わせて全く異なった弾き方にすることで、まるで別の曲を弾いているような驚くべき効果をあげている。
CIACCONAについては、奏法について述べることもないだろう。この曲が、こんなにも悲しみに満ちた静かな曲想をたたえたものであったことを、私は彼女の演奏で初めて知ることができたのである。
彼女のバッハは、限りなく透明で無味無臭の水のようだが、名水のように不思議な魅力に満ちている。だから毎日聴いても飽きないし、聴くたびにますます惹きつけられるのだと思う。
音楽の友 2011年 04月号 [雑誌]
今月号は、読者アンケートによるクラシック音楽ベストテンとして 1 あなたが好きなクラシック音楽演奏家は? 2 あなたが好きな指揮者は? 3 あなたが好きなオーケストラは? 4 あなたが好きな鍵盤楽器奏者は? 以下全39問読者アンケートを特集しています。各設問を検討していくと種々面白い事が解ります。
例えば1 パヴァロッテイが何故1位なのか?カラヤンの人気いまだ衰えず。小澤は、大病からの復活で人気上昇! 2 小澤 カラヤン クライバーは、解るけど何故メータがランクインしているの? 4 アルゲリッチ、ポリーニの人気衰えず。しかし、グルダ、ブレンデルは何故ランクインしていないの? 10 小澤 朝比奈の人気衰えず 16 ベートーヴェン ブラームス バッハ モーツアルトの人気衰えず。17 ブルックナー マーラー好い曲もあるが長すぎる。武満 シェーンベルク 解りにくい 19 ベートーヴェン第九 ブラームスSYN.1は解るが、バッハ マタイ受難曲、ワーグナー 指輪は何故ランクイン・・通して聴いているのかな?モーツアルトは、フィガロが入って、何故SYN.40は入っていない? 23 何故チャイコフスキーVn.CO.が1位(メンデルスゾーンはランク外になりそうなのに) 27 ボエームが何故1位 37 39 ソフトは購入しないが、コンサートへは行く等色々な事が解ります。
総じて意外と保守的ですが、時々訳の解らない物がランクイン(しかも高位)しています。私も20代後半から30年以上購入してきたレコ芸の購読をやめました。(マンネリで面白くない)また、デイスクリポート以来ずっと購読してきたCDジャーナルも止めようと思っています。(巻末の新譜紹介が縮小された。)ソフトの販売量が減ってきているので、これらを紹介している雑誌も難しい時期に入ってきていると思います。
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(初回生産限定盤)(DVD付)
神尾さんの演奏はコンサートでも聞かせていただきましたが、演奏中は作曲家が乗り移ったような
表情で情感たっぷりと聞かせてくれます。今回のチャイコフスキーのコンチェルトはコンクール
本選で演奏した時と同じく素晴らしい仕上がりとなっています。
今まで何十種類とこの曲を聞いてきましたが、神尾さんの右にでる者は現在いないように思えます。
私のお気に入りのハイフェッツの出番が少なくなりました。
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
庄司さんのバイオリンは初めて聞きました
好感が持てる音色で 本人を見たことはありませんが 小柄で華奢な感じのちょっと背伸びしてみた そんな音色でした
バックのオケが 指揮が 確かにテンポが遅いし チャイコフスキーの音楽にしては妙にきれいすぎる印象を持ちました
チャイコフスキーの音楽の自分の印象は かわいらしい音楽と違う「1812年」に表れるような 象の 熊の そんなイメージ(ってどういうの?)なんですけど ちょいモーツァルト意識しつつって感じかなあ
う〜ん 好みが分かれるか…
嫌じゃないけどチャイコフスキーはこんなきれいな感じにまとまると変なカンジでした
メンデルスゾーンは作曲家についてあまりよく知らないけど曲は有名ですね
これはチャイコフスキーほどの違和感はなくすんなりと聞けました
きれいにまとまってました