銀河鉄道の夜
一般的にはYMOのメンバー程度にしか知られていなさそうだが、この細野晴臣という人は空間的に広がりのある立体サウンドを作り出すのがとにかく上手い。とはいってもそこら辺の、ニューエイジ、ヒーリング系とはモノが全然違うのだが。この銀河鉄道の夜はそんな彼の想像性が如何なく発揮された傑作だ。孤独と高揚感が絶妙なコントラストを作り出していて素晴らしい。
HoSoNoVa
そうか、もう38年も経ったんだなってしみじみとジャケットをながめてしまいました。高校生の自分にはあまりにもジャストフィットしてくれた“Hosono House"から、時間がたっぷりと流れてしまっております。細野さんはより一層“優しさ”が増幅し、またまた体にジャストフィットしてくれる音楽を楽しませてくれます。全てがおさらいじゃないよって・・・・。是非ともアナログ盤での発売も望みたいところ。こんなに人間の演奏が伝わってくるアルバムもなるほど今の日本では細野氏しかおらんのかなって思います。自分の中で消化して、吐き出された“息”のような音楽が奏でられるのは羨ましい限りであります。自分がどれだけ進化・後退したか・・・。いろいろな想いが交差する、未だに煩悩に振り回される日々。ああ〜業が深すぎる。とっても楽しめるアルバムですね。
PROPAGANDA [VHS]
今、YMOのビデオを買うというのは、熱狂的なファン以外なら、その理由の方に興味が湧くでしょう。このビデオは、横浜の根岸・森林公園内にある、旧競馬場跡がステージとなっているという点が、買いです。この競馬場跡は、現在では米軍から返還されたものの、フェンスで高く覆われて、立ち入り禁止となっており、こうして昔の映像で偲ぶしか無い訳です。日本で最初の競馬場跡(といっても当時は上流階級の社交場的な存在ではなかったかと思います)は、長年の風化によって、何とも味が出ており、このビデオを観て興味を持たれた方は、当地に行かれて、往時に思いを馳せるのも一興かと。こういう枝葉末節で映像を鑑賞するのも、許されるかと思います。
銀河鉄道の夜 [DVD]
小さい頃見た限りでは、どちらかというと意味の分からないアニメーション程度の印象しかなかったが、原作を作った宮沢賢治氏の作品を一通り通してから、大人になってみるとこの作品が如何に彼の繊細且つ孤独な感性を見事に映像化している事に脱帽。一般に言う多くのアニメーション(ディズニー)とは全く異なるベクトルにある作品で、主人公のジョバンニとカンパネルラはほとんど表情を変えずストーリー自体も非常にストイックで淡々とした構成となっている。猫という動物が超自然的なものやミステリアスなメタファーに古来から使われることからも、この作品のテーマを浮き上がらせるのに役立っていると思う。下手にオーケストラアレンジであったり、シンセサイザーで加工されていたりすることなく雰囲気作りを最大限に考え、ストーリーを邪魔せず見事に融和している音楽も素晴らしい。一つの絵を鑑賞するようにして考えず作品の世界に浸るように見ても十分に味わい深い作品だ。
銀河鉄道の夜【劇場版】 [VHS]
この作品前から好きなんです。(世間的にはいまいち地味なのが残念)
キャラクターが猫の所も宮沢賢治の世界の幻想的な雰囲気に合っている
と思います。自分のイメージが貧困なせいか、小説で読むよりも美しい
世界観を堪能できました。このビデオに携わった方々は文学的で繊細な
感覚を持っているんでしょうね。特に音楽は最高で何ともいえず不思議
で異世界の感じがします。ジョバンニとカンパネルラとの別れの場面は
悲しくていつも泣いてしまいます。漆黒の宇宙の中に人間の魂の永遠を
感じる人は多いのではないでしょうか。子供には絶対に見せたい作品です。