プリンセス・トヨトミ (文春文庫)
あるある、って読み進むうちに泣くかもしれないと思いながら、真田のセリフで泣いてしまった。
男しかこの作品受けんやろな、と思ったが、、どっこいの結末に安心するやら、感心するやら、、爽やかな風が心の中に流れました。父にも読んで欲しかったな!息子にも読んで欲しい!そして、妻にも。
プリンセス トヨトミ DVDスタンダード・エディション
日本の中心である大阪に、秘密裏に日本政府にも認められた正規国家、大阪国が存在しているという荒唐無稽な話。しかも、それを見つけるのが会計検査院という、また意外なストーリー。
前半の、大阪国の全貌が明らかになるまでは、謎解きのような展開で、テンポも速く、セリフも軽妙で、バリバリ仕事をこなす会計検査院の主人公3人と、査察される側の掛け合いが面白い。明らかに大阪が全面的に協力しているであろうことが伺われるほど、大阪の名所が次々と登場するのも楽しい。
しかし後半、「事件」が起こってからの展開は、突然スピードが遅くなる。延々と続く「蜂起」の描写、堤真一が演ずる主人公の過去への回帰等、全体的に冗長。
また、細かい事を言えば、大阪人が喜びそうな映画なのに、明らかに大阪人から見たら変であろうシーンも多々あったし(例えば、プリンセスが自転車で走っている場面で、大阪のあちこちをワープしてるかのごとく、全く異なる場所が続く。映画「ブラックレイン」で梅田阪急から十三に場面が飛んだように)、「鬼の松平」と言われた主人公が、途中で主張を変える根拠も不明確。さらに、ここまで大阪にこだわるなら、「大阪国」関係の出演者は全て大阪人にして欲しかった(中井貴一は東京育ち)。
ちなみに、映画としては全く別物だが、「真面目で優秀な公務員」を演じる堤真一、そしてその彼の中で大義と私情が混ざるところが、何となく映画「SP」と似ていると感じた。
後世に残る映画だとは思わないけど、大阪人でなくても十分楽しめる映画。大阪人との話のネタにも、見る価値はあるかと。
かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)
小学一年生のかのこちゃんと 「夫人」と呼称がつく猫マドレーヌをめぐる
出会いと別れの物語。
雨の日の学校の昇降口、神社の祭りの夜店、夏休みの宿題、生え変わる歯の
グラグラ、思い出心がきゅんきゅん突かれる生き生きした場面の裏では
怪しい事態も進行中。
語り口はさりげなく 真面目で つい惹き込まれてしまう。
そこはかとない可笑しさと かのこちゃんたちの可愛さに和んでいるうちに
ほら話なのに いつも通り泣かされる。
温かい子供時代の思い出として 自分の記憶とはまた別に取っておきたいような
素敵なお話である。
万城目さんの文章は品がある。いつか「執事」の話を書いてほしい。
「日の名残」と「ジーヴス」の中間を狙って どうでしょう?
プリンセス トヨトミ Blu-rayプレミアム・エディション [Blu-ray]
原作は読みました。制作発表時から気になっていたのは、鳥居と旭の性別が逆転していること。たしかに、天然ドジっ子の綾瀬はるかによる鳥居は可愛かったし、お好み焼きを食べ続ける可愛い女子の鳥居に癒されたの事実。岡田将生の旭もかっこよかったし、クールな感じも似合ってました。
ただ、大阪を守る男達や、女の子になりたい中学生大輔の設定からして、実は、性別というのはこの物語の重要なポイントでもあるので、途中から、話の流れは大きく変わっています。また、原作の最後に交わされる女性の旭と大輔の会話が、『大阪を守ってきた大阪国の人々、そしてこれからも守り続けられるだろう大阪国』を表現するものだけに、それがなかったのは残念でした。
まぁ確かに、豊臣家の生き残りプリンセスがいて、彼女を守る『大阪国』の設定という、その突飛かつ大スケールで驚かしておいて、それはあくまで遊び心のようなもので、この大ぼら話、能天気コメディーの落としどころを親子の絆にもってゆく。守るものがある大切さ、伝えていくという大切さ。そして、なにより家族の絆。ミクロなレベルの信頼と愛。という根本的なところは変えてありません(変えようがないか...)けどね。ストーリー知っていても感動もありますし。(笑)
ミステリとしても心憎い伏線が仕掛けてあり、ミスリードのさせかたも見事。微妙な違和感を感じさせながらも、堤真一と岡田将生のおかしな表情のやりとりで原作未読の方は思わず騙されてしまうかもしれません。
本作で人々が守るもの、それ自体に実は大した価値はないのですよ。プリンセスにせよ地下通路にせよ、それは象徴にすぎません。それを旗印に、人々が大切に思ってきたものこそが本当に価値あるものだということなんですね。その意味で、おバカコメディにベクトルが振り切れることなくリアルさをもたらした、“鬼の松平”の堤真一と“大阪国総理大臣”真田幸一役の中井貴一は的を射たキャスティングでした。
鈴木雅之監督はTV出身で、万城目学のデヴュー作「鹿男あおによし」も撮っています。その関係で、本作では玉木宏が「たこ焼き屋」のひょうきんなお兄ちゃん役でカメオ出演しています。
この監督、シーンの繋ぎやコミカルで不思議な間とかが持ち味で、万城目作品にはピッタリの監督かもしれません。新作「偉大なるしゅららぼん」もどこか「鹿男あおによし」的な作品なので、鈴木監督で映画化して欲しいですね。
プリンセス トヨトミ DVDプレミアム・エディション [DVD]
原作は読みました。制作発表時から気になっていたのは、鳥居と旭の性別が逆転していること。たしかに、天然ドジっ子の綾瀬はるかによる鳥居は可愛かったし、お好み焼きを食べ続ける可愛い女子の鳥居に癒されたの事実。岡田将生の旭もかっこよかったし、クールな感じも似合ってました。
ただ、大阪を守る男達や、女の子になりたい中学生大輔の設定からして、実は、性別というのはこの物語の重要なポイントでもあるので、途中から、話の流れは大きく変わっています。また、原作の最後に交わされる女性の旭と大輔の会話が、『大阪を守ってきた大阪国の人々、そしてこれからも守り続けられるだろう大阪国』を表現するものだけに、それがなかったのは残念でした。
まぁ確かに、豊臣家の生き残りプリンセスがいて、彼女を守る『大阪国』の設定という、その突飛かつ大スケールで驚かしておいて、それはあくまで遊び心のようなもので、この大ぼら話、能天気コメディーの落としどころを親子の絆にもってゆく。守るものがある大切さ、伝えていくという大切さ。そして、なにより家族の絆。ミクロなレベルの信頼と愛。という根本的なところは変えてありません(変えようがないか...)けどね。ストーリー知っていても感動もありますし。(笑)
ミステリとしても心憎い伏線が仕掛けてあり、ミスリードのさせかたも見事。微妙な違和感を感じさせながらも、堤真一と岡田将生のおかしな表情のやりとりで原作未読の方は思わず騙されてしまうかもしれません。
本作で人々が守るもの、それ自体に実は大した価値はないのですよ。プリンセスにせよ地下通路にせよ、それは象徴にすぎません。それを旗印に、人々が大切に思ってきたものこそが本当に価値あるものだということなんですね。その意味で、おバカコメディにベクトルが振り切れることなくリアルさをもたらした、“鬼の松平”の堤真一と“大阪国総理大臣”真田幸一役の中井貴一は的を射たキャスティングでした。
鈴木雅之監督はTV出身で、万城目学のデヴュー作「鹿男あおによし」も撮っています。その関係で、本作では玉木宏が「たこ焼き屋」のひょうきんなお兄ちゃん役でカメオ出演しています。
この監督、シーンの繋ぎやコミカルで不思議な間とかが持ち味で、万城目作品にはピッタリの監督かもしれません。新作「偉大なるしゅららぼん」もどこか「鹿男あおによし」的な作品なので、鈴木監督で映画化して欲しいですね。