肉弾時代―併録「肉弾人生」嫁売ジャイアンツ篇 (QJマンガ選書 (13))
表題作「肉弾時代(約160頁・1976年)」は4部構成の中編。作者名や作品概要は一応知ってて、60年代の短編も読んだ事あったけど、まさかここまで突き抜けた作品だとは想像もしてなかった。今まで読んだどんなマンガとも違っていた。とにかく、作者の闘争への美学が貫かれたマンガだとしか説明のしようがない。
うずくまるような姿勢で敵に打ちのめされる中に勝機を見出すプロボクサー武居。その闘いは偉大な芸術が目指すところと同じだと、強く惹かれる天才作家M。だが彼はその戦法ゆえにパンチドランカーとなり、引退して見る影もなく落ちぶれてしまう。その後Mは元チャンピオンのエリートボクサー・ケイリーと出会い、Mはケイリーと武居を闘わせようと各策する。
まずいきなりの、「武居の超絶筋肉描写→女性同士の耽美なSMシーン」の一枚絵が連続する唐突な展開に衝撃を受けた。そしてほぼセリフなしで「三島そっくりの主人公Mの肉体美(ズボンを突き破らんばかりに浮かび上がる男性器)→女陰のみ露出したラバー服を着た美女がバイクに跨り颯爽と走るシーン」が一枚絵や大ゴマを使って大迫力で描かれる。セリフではなく絵と文学的な説明文により進行するパートが多く見られるのも本作の個性的なところです。
やはり最も注目すべきはこの圧倒的な画力です。絵柄、構図、センスなど、時代を超越しています。極度に誇張された筋肉描写へのこだわりも凄まじいの一言。また女体も非常に美しく官能的です。
「肉弾時代」
I II III IV
「肉弾人生・嫁売ジャイアンツ篇」
(プロローグ)力神降臨
(本編)第1部、第2部、第3部