ソドムの映画市
何がネガティヴで何がポジティヴか、などということにはおよそ興味がないが、少なくとも中原昌也がそれほどネガティブでもなければ斜に構えているわけでもないというイメージが定着した後にあっては、本書のまえがきはさほどの意味を持たない。本書は、真摯な中原昌也のかなり真面目で読み応えのある、映画についての本である。オススメ。
パゾリーニ・コレクション ソドムの市 (オリジナル全長版) [DVD]
まだビデオテープだったころにレンタルで観ました。当時10代。とっかかりは当然ながら興味本位でしたが、痛烈なしっぺ返しを食らいました。映画における残酷表現の極北と言っていいでしょう。当時はもう2度と観たくないとも思いました。
作品そのものの分析は、さまざまなコラムで論じられている通りだと思います。ただ、10数年以上たった今、ふと、「また観てみるべきか」と振り返る時があります。そして、何故かこのレビューに書かれた一人ひとりの感じ方をつぶさに読み込む自分がいます。
ひと歳とって、世の中のいろんなことを見聞きしたせいでしょうか。現時点では、観ようと思いつつも再び手を伸ばすに至っていません。とはいえ、生活上のちょっとした起伏を引き金に「何かを確かめてみたい」と期待させてしまう引力が、この作品に潜んでいるような気がします。
自分は一体、何で「映画」を観るのか。観たら確実に嫌な思いをするこの映画に、何を求めているのか。営みの根源的な部分につけ込んでくる作品です。
ホラー番長 スペシャルBOX [DVD]
ユーロスペースで上映された企画「ホラー番長」の4作品を集めたボックス。
単品のソフトが4タイトル収められ、さらに特典ディスクが1枚追加されたセットがこの価格なら、かなりの割安でお得感が高い。
特典ディスクの内容は、ユーロスペースでの監督&女優のトークショー(『稀人』と『ソドムの市』)、監督&キャストの対談(『月猫に蜜の弾丸』と『運命人間』)、そして『稀人』『ソドムの市』のメイキングが少々と「ホラー番長」の予告編。
特典ディスクの内容は非常に物足りない。
ボックスに収められた単独ディスクは4枚とも片面一層で、それぞれの映像特典内容は初日舞台挨拶だけだったのだから、まだまだDVDソフトとしては容量が余っている。つまりこの特典ディスクの映像素材は、各単品に振り分けても問題ない。そういう意味ではメーカー側の商魂にはいやらしさを感じるが……。
まぁ、単品でちょびちょび買うぐらいなら、これ1箱買ってしまった方が安く上がるのは確かである。値段的にサービスしているのだから高望みしても仕方ないが、同梱特典にブックレット(解説書)は欲しかったところだ。
(★ホラー番長4作品の単品商品に関しては個別にレビューを書いているので、そちらを参照して下さい)