マクルーハン理論―電子メディアの可能性 (平凡社ライブラリー)
メディア論といえばとりあえずマクルーハンがよく言及されるのが相場だが、自分もとりあえず読んでみた。
マクルーハンの主張については他の方がまとめてくださっている通りで、よく言及されている視点だが、新しいメディアの出現が既存のメディアを相対化し、表現の型を変化させるという論点が一番印象に残った。それはまさに今インターネットメディアがテレビをはじめとする既存のメディアに対して行っていることで、今まで地として通用して、環境の一部として、所与のものとして変化せずにあったメディアが図として、社会上の機能の一つとして、ほかと変わりうるものとして見え始めるということはここ二、三年実際に日本で起こっていることだ。歴史的にも一方で書籍・新聞・雑誌が順に出現したときの作用、他方での演劇・映画・ラジオ・テレビと続いていく流れと作用、それら二つの流れがまた個別に影響を及ぼしていく相互作用、そんな全てのメディアの変遷で規定されていく人々の感受性のありよう、といったことに思いをはせるための材料を多く収録している。
発表されてから五十年以上たった現在から読むと、テレビメディアに付与されていたポジティヴな価値付けはジョークにさえ読める。かえって書籍に付与しているネガティヴな価値付けが今はポジティヴな意味合いとして再評価できる。個人的には、対人コミュニケーションを別にすれば、インターネットで情報を得て、書籍で情報の分析・総合の技術を磨き、ラジオで一般的なニュースに触れる、という組み合わせが情報環境としていいのではと思う。などと、メディアについて考えるたたき台として面白い一冊。
ザ・ウォード 監禁病棟 [Blu-ray]
僕も含めてですが(笑)カーペンターファンには、待ちに待った10年ぶりの日本公開となる新作です!ジャンル的にはサイコホラーになると思いますが、映画的には更にマニアック度が増していて、良くも悪くもカーペンター節が、炸裂していますので、勿論、一般の映画ファンにもカーペンターが好きな人はいると思いますが(笑)基本、カーペンターファン&マニアックなホラームービーファン以外には、受け入れられるのがチト辛いのではないかと思います(笑)だからという訳では無いのですが、この映画を貶す人たちの考え方が、僕には理解(したくもないですが)出来ません。
遊星からの物体X 【Blu-ray ベスト・ライブラリー100】
ジョン・カーペンター+ロブ・ボッティン+エンニオ・モリコーネと言えば、この「The Thing」はあまりにも有名である。1982年11月20日、大スクリーンでひっそり公開された。ジョン・カーペンターのファンには待ちに待ったロードショウであった。しかもカーペンター自身、初のメジャー作品である。スタッフは一流ぞろい。空席の目立つ館内でそれは始まった。最近の「ドルビーデジタル」にはない「凄まじいサラウンド」に度肝を抜かれた。ロブ・ボッティンの「怪物」はのちのモンスターものに多大な影響をもたらした。デジタル時代には及ばない素晴らしい「怪物」である。この「The Thing」を超える作品はないと思う。続編をにおわせるラストだが、続編を製作しなかったこと、と言うより製作できなかったほどの作品である。それほど完成度の高い作品と言える。昨今の「ドルビーデジタル(圧縮)」にはないアナログ時代のドルビーステレオ(光学式アナログ非圧縮)は、リニアPCMに匹敵する高品質のサウドであった。「変態」のリアルなサウンドは今でも耳に焼き付いている。当時のドルビーシステムは設備が大掛かりで高価であった。この作品はそんな頃製作された代表的一本である。現在でもこの「The Thing」を超える作品はないし、カーペンターファンに支持され続けている 。デジタル時代にはまねできない作品であろう。
ヴァンパイア~最期の聖戦 【字幕版】 [VHS]
「フロム・ダスク・ティル・ドーン」に先を越された感じもありますが、ジョン・カーペンターのアクション重視のヴァンパイア映画です。めずらしくジェームズ・ウッズのヒーローぶりが堪能できるし、ずっとラリってるシェリル・リーのやぼったさがとても魅力的。ちょっと軽い感じもしますが、エンディングはかなりかっこよくキメてます。