満州からの引き揚げの途中、母と姉を殺されてしまう雄飛。
預けられた親戚の家でいじめぬかれて、家出をして、
戦災孤児として一人で生きていくところをパンパンのまち子さんに育てられることになる……。
そのまち子さんは客からレイプされ、お金を奪われてしまう。
いい人が無残な目にあっていく。しかし、それが戦後の時代の一面だった。

昭和の時代を懐かしむ空気もあるが、昭和20代、30代は、
あの戦争で多くのモノを失い、闇を抱えて生きている人がたくさんいた。
そういった人たちを描いたのが松本清張だったと思うのだが、
「雄飛」のストーリーは松本清張を彷彿させた。

描いている街並みも、昭和の感じをよく出していていい。
戦後70年にふさわしい作品です。
これからが楽しみです。