アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ
映画では、主人公(実際にアフガニスタンの女優)が祖国の現状に改めて愕然とし、動かし難い現実に翻弄され複雑な嫌悪感を抱いていく過程を観た。映画の最後にある台詞のように今すぐブルカを脱ぎ捨てて逃げ出したいと、観ている方もそんな衝動を覚えるほどだった。
この本を手に取ったのは映画を観て、これまでと違う切り口からアフガニスタンを知ることができると思ったからだ。しかし同映画の監督でもある著者が著す国は、映画でデフォルメされたものでもなくルポで強調される現状の悲惨さでもなく、アフガニスタンの社会とそれを取り巻く国際情勢、そして毎日毎日くり返される日常である。それらが、緻密な下調べと出来る限りの偏見を取り除いた語り口で実に淡々と語られている。
何をもってしても禁じ得なかったアフガニスタンの実像は「恥辱の余り崩れ落ちた」仏像が象徴的に物語ってくれる。
大仏破壊 バーミアン遺跡はなぜ破壊されたか
2004年の本と、古い。しかしあの時、大仏が破壊されるまで、そしてアメリカでの9.11までにどういった展開がその政権(仮)の裏で起こっていたのか…イスラムど保守勢力やオマル師にビンラーディン一味が浸潤していく様子やそれに反する開明派の動き。フランスや日本など各国の人たちの努力、そして無関心。ソ連撤退あたりの基礎中の基礎のところからの概略が解りやすく書かれている。
今更ながら感もあるが基礎の概略を知るにはとっても良い。