これでいいのか川崎市 (日本の特別地域特別編集)
全体的には楽しく読めた。ただサブタイトルにある『東西冷戦激化中』というのは、ジモティ的にはしっくり来ない。イメージとして川崎市は『南北に長い街』なので、多摩区や麻生区は地理的には『西部』に相当するのだが、川崎市民的には(あそこは『北部川崎』)という認識が一般的だ。麻生区の住民は事実上川崎区の意向は考慮していないし、逆に川崎駅前で多摩・麻生区についてアンケートを取って見ても関心が極端に低いのは事実であろう。何せ戦時中は川崎区の学童が麻生区へ疎開していたのだから、その秘境レベルは容易に想像出来る筈だ。川崎市とは言うものの、実は全く異なる地域や文化が無理矢理融合している所が面白いのだと思う。唯一の共通事項は、多摩川と二ヶ領用水くらいだし。そういう点では、広く浅く面白く読める本だと思う。欲を言えば、もっとディープな事柄(例えば日本初のバキュームカー開発市だった事や、実は市内にも原子力施設がある等)に触れて貰えると読み応えがあったのだが。その点だけ残念無念。