Way Out West
コルトレーンがまさにスパイラル状に自らの音楽を上昇させていったのに対し、ロリンズはいたるところにうずもれている自らの上質の鉱石を気まぐれに掘り出しては見事な成果をあげたという印象が強い。もちろんロリンズの努力や苦悩は人知れずあったであろうが、単線的な進化ではない複合的自在さの中で高められていったロリンズの天性の才能を感じずにはいられない。たとえばこのアルバムは名作「サキソフォン・コロッサス」と並ぶ彼の代表作だが、プレスティッジとコンテンポラリー、東海岸と西海岸とではこうも違うのかと驚かされるユニークさである。競演者はもちろんだがそれ以上に録音技師の個性や気候の違いなども影響しているのだろう。しかし何よりも重要なことはロリンズの複合的才能が様々な局面で発揮されており、乾いたユーモアと天衣無縫なジャズのフィーリングとして結実している点である。カウボーイ姿のジャケットでもわかるように、そこにはウェスタンのロリンズがいる。50年代後半のロリンズ恐るべしである。
頂上体験~曇りなき世界~SA-CD SHM仕様~聴き比べサンプラー
昨日このディスクが届きました。1枚目がSACD-SHM仕様(2チャンネル)、2枚目がSACD/CDのハイブリット盤です。まず、2枚目のSACDを視聴。やはり鮮明度、音域ともに納得。続いて1枚目のSACD-SHMを視聴。えー、こんなに違うの?続いて、2枚目のCDを聞いたら、とても聞くに堪えないものでした。説明通りハイブリット盤の音質の不利な事と、SACD-SHM盤が最上な事が認識され、2枚目は1回のみの視聴で2度と聞く事の無い盤となりました。また、選曲も絶妙。仕様の違いが明確な曲ばかりです。10ccやjazzの「コルコヴァード」、クラシックの「バレエ≪春の祭典≫から いけにえへの賛美〜」などを聞くと、必ずSACD-SHMに買い代えを考えさせられ、何時の間にかアマゾンより検索、ウオッチリストに入れている自分に驚きました。また、既に販売完了ですが、スティーリー・ダンのAjaのSACD-SHM盤も欲しいですし、私が多く所有するハイブリット盤の買い代えまで視野に入れなければなりません。この調子でキング・クリムゾンまで発売されたら〜。考えるだけで、恐ろしいです。SACDデッキをお持ちで、部屋が広く、資産がそれなりにある方が覚悟して購入下さい。それがこのディスクの本来の企画です。
雪~winter with your favorite music~ V-music [Blu-ray]
「雪〜winter with your favorite music〜 (DVD版)」のブルーレイ化作品です。V-Musicシリーズは、作品によっては、映像の品質的にDVD版と大差のないものがあったりして、一長一短があるのですが、この「雪〜winter with your favorite music〜」については良好に仕上がっています。
なによりも、雪というとても繊細な存在が、ブルーレイによって再現されていること。これはとても大きいことだと思います。DVD版では単に白いだけだった世界が雪の粒子まで見えるほどで、これは期待以上でした。ただぼってりと雪のかたまりがあるだけだった「4. 蔵王」では、特に実感できると思いますよ。「5. 北海道」のダイヤモンドダストやサンピラー、氷霧のきらめきも息を飲むほどです。
既存のアーカイブから選んだ映像に音楽を当てたものなので、カットも多く、一部、難点のある映像も含まれていますが、この作品に関しては気にならない程度。ほかにはない「雪」にフィーチャーした作品。雪の繊細さを楽しんでください。
JM [DVD]
この映画は当時かなり期待して鑑賞したことを思い出す。題材や世界観がブレードランナーっぽいこともあり、たいそうハードボイルドな雰囲気なんだろうと思っていた。鑑賞後、それはただの思い込みであることがわかった。
プロレスのようなゆったりとしたアクションシーン、容量オーバーなのにデータを全て脳にダウンロードできたジョニー、頭さえ無事なら殺しても構わないといいながら拳銃を撃たないでホールドアップさせることに固執する嘉門たつおみたいな顔のシンジ、動くな!!とかいわれているのに速攻で反撃に転じるジョニー達、たけしに日本刀で斬られてのんびり死んでいくシンジの子分達、そしてシンジの子分の刺青を見たたけしの「こんな漢字があるかよ、バカヤロウ」。
上記の要素により、私の中ではシュワルツェネッガーの「コマンドー」と並んでオールタイムベストに挙がる。年に一度は鑑賞することにしている。鑑賞中は笑顔である。