ハゲタカ DVD-BOX
再放送を見て、改めて良い作品だと思いました。
大森さんが以前出ていた「火消し屋小町」では、何かさえない人だなあと思っていましたが、今回はすっかり彼の魅力に引き込まれてしまいました。素晴らしい演技でした。
あと、松田龍平さんの無表情さが光っていました。
実際のファンドの世界はよく知りませんが、その一部を垣間見た感じがして、とても興奮しました。
NHKならではの重厚な作品で、もう民放のつまらないドラマは見たくなくなります。
ハゲタカ(上) (講談社文庫)
NHKのドラマを見て買ったのだが、なぜもっと早く読まなかったのかと後悔した。
経済小説というのは総じて面白くない。
書き手が専門的に走りすぎてドラマの部分がないがしろになってしまうものが少なくないからだ。
これもきっとドラマ制作がうまいに違いないと勝手に想像していた。
ところが、上下二巻でちょっとかったるいところはあるが、一気に読ませる。
面白い上に、人間の本質についてをじっくり考えさせられ、明日からのいろいろな生き方のヒントを得たりや反省したりで、有益で充実した読後感に浸った。
結局、銀行は金貸しである、という原点をしっかり見せてくれる。
経済は人間が作り出したものであるが、経済がいかに人間的であるかという本来の姿を考えるのにふさわしいテキストだった。
経済の授業でこれを使ってくれれば、根本的な経済と人間の関わりの大切な部分をきちんと学べたのにと、つまらなかった授業を振り返った。
☆がひとつ足りないのは次に期待が大きいと言う理由。
コラプティオ
「ハゲタカ」以来のファンですが、経済小説の旗手が政治の世界に初めて挑んだ野心作です。震災直前に完結した連載小説を東日本大震災、原発事故、その後の悲惨な政治状況を踏まえて大幅に加筆したものです。極めてホットなテーマであり、筆者のスリリングな筆致も健在で、十分に楽しめる、ぜひ今手に取るべき一冊です。
日本の未来が描けない、国民に希望を持たせられない、リーダーの姿が見えない。現在の政治状況に、カリスマの出現というアンチテーゼを示す。しかし、神は何をしてもよいのか。腐敗とリーダーシップのどちらを選択すべきか。白石と言う若者を通じて問いかけていきます。
「原発」の売り込み、という題材を扱っていますが、そこは十分に描かれているわけではなく、そこだけを期待して読むと消化不良感が出るでしょう。筆者が問いたいのは政治・政治家、の在り方であり、いろいろ盛り込んだためにかえって散漫になった感も否めません。
それでも現在の政治への重要な一石であります。筆者の政治のフィールドへ広がりにも手応えを感じます。次回作は、得意のエネルギー分野で、日本のエネルギー政策についての新作に期待します。
マグマ (角川文庫)
なぜ地熱発電が脚光を浴びないのか、よくわかります。この作品の技術に関する記述は、すべてノンフィクション、つまり実在ししかも完成している技術を背景としていることに注目せざるをえません。謝辞にあった研究者の方の所属する研究所のHPを見てよく判りました。
水力、火力、原子力と進められている電源開発が地下に向かう日はくるのでしょうか。枯渇する化石燃料、温暖化する地球、エネルギーをめぐる外交政策、昨今高まる資源ナショナリズムなど考えると、子どもたちの未来を明るいものにすることを最優先に考えることが、私たち大人の重要な責務だと痛感させられます。
今の日本はあまりにも未来を創ることにひ弱になってしまっていないでしょうか。
エネルギーと環境に少しでも興味のある方はぜひご一読をお勧めします。