オリエント急行殺人事件 [VHS]
抑えた渋い映像に豪華なキャストと美術。物語とネタも初見の時は意外性抜群で楽しかった覚えがありますが、イギリス的というか皮肉屋のポアロがうざい。台詞のひとつひとつが気に障る。そこがいいといわれればそれまでですが。
オリエント急行殺人事件 (講談社 青い鳥文庫)
クリスティと言えば、サスペンス作品の傑作「そして誰もいなくなった」と本格推理の傑作「アクロイド殺人事件」、それに本書の3つがとくに人気があるが、前2作品はともかく、本書については私は釈然としないものがある。
まず、ハッバード夫人の手荷物に入れられていた凶器のナイフ、あれは何のために入れられてたんだ?
凶器を隠滅するためでもなかったのだろうし、だからといってハッバード夫人に大騒ぎをさせたかったわけでもなかろう。
次に、これが一番不可解だが、なんで犯人はハッバード夫人の車室から隣のラチェットの車室に出入りしたんだ?
犯人は、偽の車掌の制服を用意できたぐらいだから、車室のカギも用意できただろうと本文中に語られており、また実際にカギを手に入れてラチェットの車室に出入りできたはずなので、わざわざハッバード夫人の車室からラチェットの部屋に侵入した理由がわからない。
それと、これはどうでもいいといえばいいのだが、ラチェットの秘書、ヘクター・マックイーンって結局何者だったんだ?
私は以上3点が釈然としないので、この作品を傑作とは認めがたい。
Murder on the Orient Express
1974年のアカデミー劇音楽賞にノミネートされたリチャード・ロドニー・ベネットの大傑作。ピアノの中心とした豪華絢爛な音楽はまさにオールスターキャストにふさわしい。3では列車の動きをワルツで表現するなど職人芸。この後、「ナイル」「地中海」「死海」とエルキュール・ポワロ・シリーズが映画化されたが、作品的にも音楽的にもこの第1作を超えることは出来なかった。(ニーノ・ロータの「ナイル」の音楽はいいのですが・・) 残念なのはアムセルのイラストによるオリジナルのLPジャケットが使用されてないこと。その分、減点で本当は星4.7です。
"Murder on the Orient Express": Level 4 (Penguin Readers Simplified Text)
洋書多読の一環として購入。Graded Readerの児童書は大人の英語学習者にはつまらないので、このような本格ミステリのRetold版はおもしろく読めます。
オリエント急行殺人事件【字幕版】 [VHS]
ミステリーの女王といわれたアガサ・クリスティーの同名小説を映画化した作品。名匠シドニー・ルメットが監督し、オリエント急行の気品ある雰囲気を見事に再現している。4つ星にしたのは、主人公の名探偵ポアロが原作より,やや居丈高な感があるから。
『オリエント急行殺人事件』といえば、クリスティーの作品群の中でも5本の指にはいる名作だが、その理由は犯人像の「大どんでん返し」のトリックにある。それを見事に描いた力量に感服である。
登場人物は、まさにオールスターキャスト。中でもイングリッド・バーグマンの演技は出色である。学習障害児の後遺症を持った伝道師を見事に「演技」しているのだから。他のクリスティー作品とは完全に一線を画す質を持っていると言っても過言ではない。