棒を振る人生 (PHP新書)
著者のこれまでの指揮者としての体験と人間的成長を述べた好著です。指揮者は若くして大成する人は少ないですが、著者のこの本を読むとその理由がよくわかります。総合芸術家としての才能と経験が求められる指揮者が大成するには多くの年月を要します。ベートーヴェンの第9交響曲の豊富な指揮体験を通じて音楽家に求められる崇高な精神が述べられています。基本的に賛成であり、経験に裏付けられた音楽理解は説得力があります。しかし、私がやや物足りなく感じるのは、どのように第9を指揮すべきなのか、音楽理論や著者のベートーヴェン解釈があまり記述されていないことです。ティーレマンはウィーンフィルを率いて第9を指揮した時、過去のあらゆる演奏を聴いて第9の新しい解釈を研究したそうです。その研究成果は第9の演奏に表現されています。その完成度は賛否両論ありますが、ベートーヴェン直筆の楽譜を見て彼の人間賛歌を読み取ることも確かに大切ですが、膨大な演奏史を繙きながら自分はどのような解釈を支持するのかについて、本格的に述べてほしいものです。古楽器を用いた小編成の古典的解釈もあれば、大編成のフルオーケストラのスケールの大きな現代的解釈もあり、ベートーヴェンの演奏スタイルは様々あります。著者は後者を支持しているように思われますが、演奏スタイルと音楽解釈の重要性はますます高まると思われます。しかし、著者の音楽に対する姿勢やアプローチは人間味豊かで、これこそ佐渡流とよぶべきものではないとかと思いました。音楽ファンにお薦めの一冊です。
佐渡裕 指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 武満徹:フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 [DVD]
これは、いい。
一言につきます。
佐渡さんの魅力がここに集結されているといっても 過言ではないでしょう。
一言につきます。
佐渡さんの魅力がここに集結されているといっても 過言ではないでしょう。
棒を振る人生 指揮者は時間を彫刻する PHP新書
佐渡裕は、大野和士とともに、今、海外で最も成功している若手指揮者だ(ともに50代前半だが、指揮者の世界ではまだ若手といっていいだろう)。そんな佐渡裕の本が出たということで、一体、何を語っているのだろうかと興味を引かれ、本書を読んでみる気になったのだが、佐渡裕が今語りたいと思っている思いの丈が、全て語り尽くされていた。
私たち聴衆が演奏会の場で見聴きできるのは、舞台の上で手や体を動かしたり、表情や目配せで演奏者をリードする指揮者の姿と、それとどれだけ関連付けられているのかは実際のところはよく分からない演奏者から発せられる音楽だけだ。
佐渡裕は、指揮者の仕事のほとんどは指揮台に立つ以前にあり、指揮者の役割とは、まず、譜面と向き合って、そこに作曲家が残した「暗号」を読み解いて、作曲家が意図した音のイメージに近づくことであり、次に、自分が譜面から汲み取った曲のイメージを、どうオーケストラのメンバーや合唱団員に伝えるかであるといっており、その様々な具体例を挙げてみせてくれている。
「大きくなったらベルリン・フィルの指揮者になる」という子どものころからの夢が実現したベルリン・フィルとその定期演奏会デビュー時の様子にも、当然のことながら、相当数のページが割かれている。特に私の興味を引いたのが、デビュー前にも、ピンチヒッターで定期演奏会の指揮台に立ってほしいという打診が三度ほどあったが、結局、都合がつかずに実現することがなかったという告白と、最後に、「これからまた、ベルリン・フィルの指揮台に上がることになるだろう」といっていることだった。率直にいって、あれからすでに3年半経っても再招聘のオファーのニュースが全く聞こえてこない現状に、もう二度目はないのかもと思っていたのだが、本人が著書という公の場でこれだけのことをいえるということは、もうそれだけの裏付けがあるのだと思う。期待したい。
終章では、2015年9月に音楽監督就任が決定しているトーンキュンストラー管弦楽団についても語っているのだが、ウィーン・フィルでの指揮を視野に入れているという佐渡裕にとって、決して一流とはいい難いこの楽団の音楽監督への就任の損得を慎重に見極めた趣旨の率直な述懐をしている。もうプログラムも決まっていて、ウィーンゆかりの古典派・ロマン派のドイツ・オーストリア音楽を取り上げるのだそうだ。正直いって、ウィーンの聴衆や評論家を相手にこのプログラム構成は非常に厳しい冒険であり、大丈夫かなと思ってしまうが、そんな心配が杞憂に終わるよう、ぜひ、頑張ってほしいと思う。
私たち聴衆が演奏会の場で見聴きできるのは、舞台の上で手や体を動かしたり、表情や目配せで演奏者をリードする指揮者の姿と、それとどれだけ関連付けられているのかは実際のところはよく分からない演奏者から発せられる音楽だけだ。
佐渡裕は、指揮者の仕事のほとんどは指揮台に立つ以前にあり、指揮者の役割とは、まず、譜面と向き合って、そこに作曲家が残した「暗号」を読み解いて、作曲家が意図した音のイメージに近づくことであり、次に、自分が譜面から汲み取った曲のイメージを、どうオーケストラのメンバーや合唱団員に伝えるかであるといっており、その様々な具体例を挙げてみせてくれている。
「大きくなったらベルリン・フィルの指揮者になる」という子どものころからの夢が実現したベルリン・フィルとその定期演奏会デビュー時の様子にも、当然のことながら、相当数のページが割かれている。特に私の興味を引いたのが、デビュー前にも、ピンチヒッターで定期演奏会の指揮台に立ってほしいという打診が三度ほどあったが、結局、都合がつかずに実現することがなかったという告白と、最後に、「これからまた、ベルリン・フィルの指揮台に上がることになるだろう」といっていることだった。率直にいって、あれからすでに3年半経っても再招聘のオファーのニュースが全く聞こえてこない現状に、もう二度目はないのかもと思っていたのだが、本人が著書という公の場でこれだけのことをいえるということは、もうそれだけの裏付けがあるのだと思う。期待したい。
終章では、2015年9月に音楽監督就任が決定しているトーンキュンストラー管弦楽団についても語っているのだが、ウィーン・フィルでの指揮を視野に入れているという佐渡裕にとって、決して一流とはいい難いこの楽団の音楽監督への就任の損得を慎重に見極めた趣旨の率直な述懐をしている。もうプログラムも決まっていて、ウィーンゆかりの古典派・ロマン派のドイツ・オーストリア音楽を取り上げるのだそうだ。正直いって、ウィーンの聴衆や評論家を相手にこのプログラム構成は非常に厳しい冒険であり、大丈夫かなと思ってしまうが、そんな心配が杞憂に終わるよう、ぜひ、頑張ってほしいと思う。
佐渡裕 指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 武満徹:フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 [Blu-ray]
録音が、これまたスゴイ!
私が今までの聞いて見てきたクラシック音源の中で、文句なしに一番よい録音。特にしっかりとした5.1CH環境で聞けば、それは歴然と判るはず!小澤BPOのチャイ6のBDも持っているが、同じBLと言えど、比べ物にならないくらい、こちらの録音はスゴイ。小澤BPOのBDの録音も決して悪くなく録音は非常に良いのだが(CDより断然いい)、こちらの佐渡BPOの録音が良すぎるといった感じ。一説によると小澤BPOチャイ6の録音は、グラモフォンがやったというが、この佐渡BPOの録音は、パンフを見る限りNHKだろうか?もしNHKだとすれば、NHKの録音エンジニア、恐るべし!
演奏については、佐渡はしっかりと曲をまとめているし、とても聞きごたえがある。演奏会自体も成功させていると思う。ただし佐渡の初指揮という事もあって、会場には多くの日本人が集まっていたらしく、そういう意味での日本人からの声援などが、大きな喝采となって鳴り響いていたように思う。一曲目のフロム…という曲は打楽器ばかりの、演奏も解釈も難解な曲であって、それに対する演奏後の会場からの拍手は、佐渡の指揮に対するものというより、その難曲を見事に演奏しきった打楽器奏者たちに送られた喝采のようだ。それは、次に演奏されたショスタ5番を演奏し終わった後に、打楽器奏者たちが、他のパートより多くの喝采を浴びる事をみてもうかがえる。
佐渡は今回の招待指揮を成功させはしたが、映像を見る限り、BPOの楽団員を陶酔させるまでには至らなかったようだ。今回の演奏ではBPOも、各パートのファースト(ソロを吹くような役割)を比較的若手に<試し>でやらせているようでもある(BPOの楽団員であるからに、演奏自体は当然のごとく超一流である)。BPO側の<往年のマスタークラスの奏者を出さず…>のような佐渡に対する姿勢が垣間見えるようでもある。
演奏後の喝采も、会場にいた日本人からの喝采も多かったということから、喝采の大きさ=佐渡への評価と見るのは、いささか早々であろう。演奏中のBPO楽団員の表情や視線などを見れば、指揮者に完全にコミットした<渾身の演奏>とまではなっていないもようで、自らの有り余る技術によって<こなしている感>があるのは否めない。演奏終了後の楽団員の表情からも、これらはみてとれる。
今回の佐渡のBPO指揮について<成功>という表現は使われるものの、<大成功>とういう表現が控えめなのも、それらが要因かもしれない。これに比べるのは酷ではあるが、2、3年ほど前に、カラヤン生誕100周年を祝うBPO演奏会で小澤が振ったチャイ6<悲愴>の映像をみると、小澤に対してBPOのメンバーが感情的にも移入し、心からコミットしているのが見て取れる。奏者も<我こそBPOの表現者、具現者>たるトップ奏者を揃えてきている。やはりカラヤンやバーンスタイン、ミュンシュなどに師事し、多くの苦難を乗り越え、半世紀以上も世界の名だたる指揮台に立ってきた<世界の小澤>との格の違いか。
ただそうとはいっても、BPOから正式にオファー受けた佐渡であるし、また佐渡の相手は他でもない世界最高峰、あのフルトヴェングラーやカラヤンが育ててきた超絶集団のBPOである。招待する相手にはその<資質>と<格>があるか、BPO側の厳しい<査定>がある。いまBPOのコンサートマスターの一人を日本人が務めている。以前長らくコンサートマスターを務めていた日本人が退任し、今回新たな日本人コンサートマスターが誕生したのも、今回の佐渡招待の一つのきっかけになっとは事実であろう。
酷評をいくつか並べたが、佐渡の真摯な指揮ぶりと曲に対する姿勢、そしてBPOの演奏には、それはほかに代え難い見ごたえがあるのも事実である。とくに大汗を流して振ったショスタ5番には、BPO指揮に至るるまでの<佐渡の想い>が、濃厚に凝縮された、佐渡にとって渾身の一振りと言えるだろう。
私が今までの聞いて見てきたクラシック音源の中で、文句なしに一番よい録音。特にしっかりとした5.1CH環境で聞けば、それは歴然と判るはず!小澤BPOのチャイ6のBDも持っているが、同じBLと言えど、比べ物にならないくらい、こちらの録音はスゴイ。小澤BPOのBDの録音も決して悪くなく録音は非常に良いのだが(CDより断然いい)、こちらの佐渡BPOの録音が良すぎるといった感じ。一説によると小澤BPOチャイ6の録音は、グラモフォンがやったというが、この佐渡BPOの録音は、パンフを見る限りNHKだろうか?もしNHKだとすれば、NHKの録音エンジニア、恐るべし!
演奏については、佐渡はしっかりと曲をまとめているし、とても聞きごたえがある。演奏会自体も成功させていると思う。ただし佐渡の初指揮という事もあって、会場には多くの日本人が集まっていたらしく、そういう意味での日本人からの声援などが、大きな喝采となって鳴り響いていたように思う。一曲目のフロム…という曲は打楽器ばかりの、演奏も解釈も難解な曲であって、それに対する演奏後の会場からの拍手は、佐渡の指揮に対するものというより、その難曲を見事に演奏しきった打楽器奏者たちに送られた喝采のようだ。それは、次に演奏されたショスタ5番を演奏し終わった後に、打楽器奏者たちが、他のパートより多くの喝采を浴びる事をみてもうかがえる。
佐渡は今回の招待指揮を成功させはしたが、映像を見る限り、BPOの楽団員を陶酔させるまでには至らなかったようだ。今回の演奏ではBPOも、各パートのファースト(ソロを吹くような役割)を比較的若手に<試し>でやらせているようでもある(BPOの楽団員であるからに、演奏自体は当然のごとく超一流である)。BPO側の<往年のマスタークラスの奏者を出さず…>のような佐渡に対する姿勢が垣間見えるようでもある。
演奏後の喝采も、会場にいた日本人からの喝采も多かったということから、喝采の大きさ=佐渡への評価と見るのは、いささか早々であろう。演奏中のBPO楽団員の表情や視線などを見れば、指揮者に完全にコミットした<渾身の演奏>とまではなっていないもようで、自らの有り余る技術によって<こなしている感>があるのは否めない。演奏終了後の楽団員の表情からも、これらはみてとれる。
今回の佐渡のBPO指揮について<成功>という表現は使われるものの、<大成功>とういう表現が控えめなのも、それらが要因かもしれない。これに比べるのは酷ではあるが、2、3年ほど前に、カラヤン生誕100周年を祝うBPO演奏会で小澤が振ったチャイ6<悲愴>の映像をみると、小澤に対してBPOのメンバーが感情的にも移入し、心からコミットしているのが見て取れる。奏者も<我こそBPOの表現者、具現者>たるトップ奏者を揃えてきている。やはりカラヤンやバーンスタイン、ミュンシュなどに師事し、多くの苦難を乗り越え、半世紀以上も世界の名だたる指揮台に立ってきた<世界の小澤>との格の違いか。
ただそうとはいっても、BPOから正式にオファー受けた佐渡であるし、また佐渡の相手は他でもない世界最高峰、あのフルトヴェングラーやカラヤンが育ててきた超絶集団のBPOである。招待する相手にはその<資質>と<格>があるか、BPO側の厳しい<査定>がある。いまBPOのコンサートマスターの一人を日本人が務めている。以前長らくコンサートマスターを務めていた日本人が退任し、今回新たな日本人コンサートマスターが誕生したのも、今回の佐渡招待の一つのきっかけになっとは事実であろう。
酷評をいくつか並べたが、佐渡の真摯な指揮ぶりと曲に対する姿勢、そしてBPOの演奏には、それはほかに代え難い見ごたえがあるのも事実である。とくに大汗を流して振ったショスタ5番には、BPO指揮に至るるまでの<佐渡の想い>が、濃厚に凝縮された、佐渡にとって渾身の一振りと言えるだろう。
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