マーラー:歌曲集 子供の不思議な角笛
マーラー(Gustav Mahler 1860-1911)の歌曲集、「子供の不思議な角笛」として14曲を収録したアルバム。リッカルド・シャイー(Riccardo Chailly 1953-)指揮、コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で、2000年の録音。収録曲は以下の通り。
1) 番兵の夜の歌
2) だれがこの歌を作ったのだろう
3) 少年鼓手
4) この世の生活
5) むだな骨折り
6) 魚に説教するパドゥアのアントニウス
7) 原光
8) レヴェルゲ(惨殺された鼓手)
9) ラインの伝説
10) 高い知性への讃美
11) 不幸なときの慰め
12) 美しいトランペットが鳴り響く所
13) 塔のなかの囚人の歌
14) 天上の生活
独唱者は以下の4人で、担当曲と併せて書く。
バリトン: マティアス・ゲルネ(Matthias Goerne 1967-) 1),3),4),6),9),11),13)
ソプラノ: バーバラ・ボニー(Barbara Bonney 1956-) 2),5),10),12),14)
メゾソプラノ: サラ・フルゴーニ(Sara Fulgoni) 7)
テノール: イェスタ・ヴィンベルイ(Gosta Winbergh 1943-2002) 8)
以上の様に、通常男声、女声の2人によって歌われることが多いこの曲集に4人の独唱者を起用したことが、本盤の特徴であるが、選曲が面白い点にも触れなくてはならないだろう。
この歌曲集は、アヒム・フォン・アルニム(Achim von Arnim 1781-1831)とクレメンス・ブレンターノ(Clemens Maria Brentano 1778-1842)により1874年に出版されたドイツの民謡詩集「子供の不思議な角笛(Des Knaben Wunderhorn)」の詩に基づいて、1892〜98年に作曲された。しかし、その後、「原光」は交響曲第2番の第4楽章に、「3人の天使がやさしい歌を歌う」は交響曲第3番の第5楽章に転用されたため、この曲集から省かれることとなる。一方で、1899と1901年に作曲され、「後期の7つの歌曲」(〜これにはリュケットの詩による5つの歌曲が含まれる)にも含まれる「少年鼓手」と「レヴェルゲ(惨殺された鼓手)」が、同じ詩集からの作品ということもあり、当該曲集に含まれることとなった。そのため、現在では通常、“歌曲集「こどもの不思議な角笛」”と言った場合、1)〜6)と8)〜13)の計12曲のこととなる。
本盤では、これに、省かれた2曲のうちの1曲である「原光」を追加し、さらに、同じ詩集の詩によっている交響曲第4番の第4楽章である「天上の生活」を加え、全14曲という形でまとめている。なお、曲順に定型はなく、本盤の曲順はシャイーが考案したものである。
以上の様に、これらの歌曲は、交響曲第2番から第4番までの3曲と密接な結びつきがあるため、これらの3曲の交響曲群を「角笛交響曲」と呼ぶことがある。歌曲集「子供の不思議な角笛」と「角笛交響曲」の関係性は、これは先に書いた楽曲の「共用」のみでなく、例えば、「魚に説教するパドゥアのアントニウス」の伴奏が、交響曲第2番の第3楽章に書き直されたり、調性移行や展開が互いに深い関連性を持つなど、様々に密接なものがある。
さて、マーラーの歌曲の特徴はいくつかあるが、その最たるものは伴奏が「オーケストラ」であることである。
マーラーは、歌詞を初期ロマン的なものや民謡的なものを用いたし、簡明な民俗性を保つために、全音階的進行を支配的なものとした。そのこと自体はマーラーの保守的な一面を示しているが、他方で、雄弁にして精巧なオーケストラ書法を伴わせた革新性は、はるかに強い印象を聴き手に与えると思う。斬新な音色を用いた対位法による展開は、これまでの概念としてあった「歌曲の伴奏」の役割を根底から覆したもので、少し前のシューマン(Robert Alexander Schumann 1810-1856)やブラームス(Johannes Brahms 1833-1897)の歌曲の世界から、圧倒的に隔絶した次元の「歌曲」を確立したと言える。
また、「全音階的進行」を用いはしたが、並行して全音階的和声で、不協和音を線的に使うことで、新しい旋律を作りだし、独自の方法で対位法を発展させた。不協和を生ずる音程の平行も進んで採用し、そこには、後のシェーンベルク(Arnold Schonberg 1874-1951)らのアトナール(無調)を予見する響きも満ちているのである。
そういったわけで、これらの曲集にはピアノ伴奏版もあるが、私は断然オーケストラ伴奏で聴くべきであると思うのだけれど、この録音のクオリティの高さはあらゆる側面から私を満足させてくれた。まず、清澄で室内楽的とも言える緊密なオーケストラの響きが素晴らしく、その設計の精巧さ、さらには録音の精度の高さも加わり、同曲集で最高の録音となったのではないかと思う。
ゲルネ、ボニーといった当代最高といえる歌手を主に起用しているが、私がその歌唱でいちばん印象にのこったのは、「レヴェルゲ(惨殺された鼓手)」1曲のみの登場となったヴィンベルイである。なんとも力強い明朗性を持った響きで、圧倒的な神々しさを感じさせる。この録音のわずか2年後に亡くなったことが惜しまれてならない素晴らしい歌唱である。
1) 番兵の夜の歌
2) だれがこの歌を作ったのだろう
3) 少年鼓手
4) この世の生活
5) むだな骨折り
6) 魚に説教するパドゥアのアントニウス
7) 原光
8) レヴェルゲ(惨殺された鼓手)
9) ラインの伝説
10) 高い知性への讃美
11) 不幸なときの慰め
12) 美しいトランペットが鳴り響く所
13) 塔のなかの囚人の歌
14) 天上の生活
独唱者は以下の4人で、担当曲と併せて書く。
バリトン: マティアス・ゲルネ(Matthias Goerne 1967-) 1),3),4),6),9),11),13)
ソプラノ: バーバラ・ボニー(Barbara Bonney 1956-) 2),5),10),12),14)
メゾソプラノ: サラ・フルゴーニ(Sara Fulgoni) 7)
テノール: イェスタ・ヴィンベルイ(Gosta Winbergh 1943-2002) 8)
以上の様に、通常男声、女声の2人によって歌われることが多いこの曲集に4人の独唱者を起用したことが、本盤の特徴であるが、選曲が面白い点にも触れなくてはならないだろう。
この歌曲集は、アヒム・フォン・アルニム(Achim von Arnim 1781-1831)とクレメンス・ブレンターノ(Clemens Maria Brentano 1778-1842)により1874年に出版されたドイツの民謡詩集「子供の不思議な角笛(Des Knaben Wunderhorn)」の詩に基づいて、1892〜98年に作曲された。しかし、その後、「原光」は交響曲第2番の第4楽章に、「3人の天使がやさしい歌を歌う」は交響曲第3番の第5楽章に転用されたため、この曲集から省かれることとなる。一方で、1899と1901年に作曲され、「後期の7つの歌曲」(〜これにはリュケットの詩による5つの歌曲が含まれる)にも含まれる「少年鼓手」と「レヴェルゲ(惨殺された鼓手)」が、同じ詩集からの作品ということもあり、当該曲集に含まれることとなった。そのため、現在では通常、“歌曲集「こどもの不思議な角笛」”と言った場合、1)〜6)と8)〜13)の計12曲のこととなる。
本盤では、これに、省かれた2曲のうちの1曲である「原光」を追加し、さらに、同じ詩集の詩によっている交響曲第4番の第4楽章である「天上の生活」を加え、全14曲という形でまとめている。なお、曲順に定型はなく、本盤の曲順はシャイーが考案したものである。
以上の様に、これらの歌曲は、交響曲第2番から第4番までの3曲と密接な結びつきがあるため、これらの3曲の交響曲群を「角笛交響曲」と呼ぶことがある。歌曲集「子供の不思議な角笛」と「角笛交響曲」の関係性は、これは先に書いた楽曲の「共用」のみでなく、例えば、「魚に説教するパドゥアのアントニウス」の伴奏が、交響曲第2番の第3楽章に書き直されたり、調性移行や展開が互いに深い関連性を持つなど、様々に密接なものがある。
さて、マーラーの歌曲の特徴はいくつかあるが、その最たるものは伴奏が「オーケストラ」であることである。
マーラーは、歌詞を初期ロマン的なものや民謡的なものを用いたし、簡明な民俗性を保つために、全音階的進行を支配的なものとした。そのこと自体はマーラーの保守的な一面を示しているが、他方で、雄弁にして精巧なオーケストラ書法を伴わせた革新性は、はるかに強い印象を聴き手に与えると思う。斬新な音色を用いた対位法による展開は、これまでの概念としてあった「歌曲の伴奏」の役割を根底から覆したもので、少し前のシューマン(Robert Alexander Schumann 1810-1856)やブラームス(Johannes Brahms 1833-1897)の歌曲の世界から、圧倒的に隔絶した次元の「歌曲」を確立したと言える。
また、「全音階的進行」を用いはしたが、並行して全音階的和声で、不協和音を線的に使うことで、新しい旋律を作りだし、独自の方法で対位法を発展させた。不協和を生ずる音程の平行も進んで採用し、そこには、後のシェーンベルク(Arnold Schonberg 1874-1951)らのアトナール(無調)を予見する響きも満ちているのである。
そういったわけで、これらの曲集にはピアノ伴奏版もあるが、私は断然オーケストラ伴奏で聴くべきであると思うのだけれど、この録音のクオリティの高さはあらゆる側面から私を満足させてくれた。まず、清澄で室内楽的とも言える緊密なオーケストラの響きが素晴らしく、その設計の精巧さ、さらには録音の精度の高さも加わり、同曲集で最高の録音となったのではないかと思う。
ゲルネ、ボニーといった当代最高といえる歌手を主に起用しているが、私がその歌唱でいちばん印象にのこったのは、「レヴェルゲ(惨殺された鼓手)」1曲のみの登場となったヴィンベルイである。なんとも力強い明朗性を持った響きで、圧倒的な神々しさを感じさせる。この録音のわずか2年後に亡くなったことが惜しまれてならない素晴らしい歌唱である。
少年兵はなぜ故郷に火を放ったのか 沖縄護郷隊の戦い
元産經新聞那覇支局長宮本雅史氏が徹底的な取材を元に、
日本唯一の地上戦である沖縄戦の知られざる一面を描いている。
これまで、ひめゆり学徒隊や沖縄県民の集団自決等しか学校で教わってこなかった
20そこらの私にとって、ここに描かれている史実はショックでもあり、
知らずに生きてきたことを恥ずかしく思った。
私よりも年下の少年兵達が故郷と日本を守る想いで
自分たちの生まれ育った故郷に火を放ち、苛まされる情景は
同じ日本に生きる者として深く考えさせられるものがある。
基地問題等で荒れる昨今の沖縄について、
我が国を守るという安全保障の問題について、
そして自分はどう生きるかということについて、
改めて考え直させられる一冊であった。
日本唯一の地上戦である沖縄戦の知られざる一面を描いている。
これまで、ひめゆり学徒隊や沖縄県民の集団自決等しか学校で教わってこなかった
20そこらの私にとって、ここに描かれている史実はショックでもあり、
知らずに生きてきたことを恥ずかしく思った。
私よりも年下の少年兵達が故郷と日本を守る想いで
自分たちの生まれ育った故郷に火を放ち、苛まされる情景は
同じ日本に生きる者として深く考えさせられるものがある。
基地問題等で荒れる昨今の沖縄について、
我が国を守るという安全保障の問題について、
そして自分はどう生きるかということについて、
改めて考え直させられる一冊であった。
戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった
報道でのアフリカやアジアの内戦というのは知っていても、実際その国で生まれ、巻き込まれ、生き抜いた者の体験は想像を絶するものがある。
きわめて抑制された文章で書かれているし、必要以上に残酷な描写や出来事はおそらくあえて書かれていない。
それでも行間からにじみ出てくるリアルと絶望は、どんな創作からも伝わってこないものだ。
どの場面も強烈だが、あえて印象に残ったものを挙げると、
更正施設に入れられた主人公を含む少年たちが、そこで敵対する反政府ゲリラの少年たちを見つけるや、直ちに殺害しようとするエピソード。(主人公は政府側で戦っていた)
戦争の狂気、なんて言葉で言い表せない感情がそこにある。
これほどの状況から生き残って渡米まですることができた主人公の信じられない幸運に、我がことのように胸が熱くなる。
戦争のない現代日本に住む我々だからこそ、多くの人に読んでほしい一冊。
そして、まったく無関係ではあるが、
彼女がいない、友だちがいない、認められていない、挫折した、
などを理由に罪もない人々を無差別大量に殺害する、現代日本の通り魔殺人に、
なんという豊かさゆえの貧しさか、と慄然とするばかりだ。
きわめて抑制された文章で書かれているし、必要以上に残酷な描写や出来事はおそらくあえて書かれていない。
それでも行間からにじみ出てくるリアルと絶望は、どんな創作からも伝わってこないものだ。
どの場面も強烈だが、あえて印象に残ったものを挙げると、
更正施設に入れられた主人公を含む少年たちが、そこで敵対する反政府ゲリラの少年たちを見つけるや、直ちに殺害しようとするエピソード。(主人公は政府側で戦っていた)
戦争の狂気、なんて言葉で言い表せない感情がそこにある。
これほどの状況から生き残って渡米まですることができた主人公の信じられない幸運に、我がことのように胸が熱くなる。
戦争のない現代日本に住む我々だからこそ、多くの人に読んでほしい一冊。
そして、まったく無関係ではあるが、
彼女がいない、友だちがいない、認められていない、挫折した、
などを理由に罪もない人々を無差別大量に殺害する、現代日本の通り魔殺人に、
なんという豊かさゆえの貧しさか、と慄然とするばかりだ。
米に1000発着弾・・・元少年兵が語る「風船爆弾」秘話(15/07/04)
一見、気球のように見えますが、爆弾が搭載されています。これは第2次世界大戦の時に日本陸軍が使っていた「風船爆弾」です。日
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