1988年に公開された「君がいた夏（Stealing Home）」を視た時に爽やかな魅力に溢れた女優にすっかり魅了されてしまいました。
　当時は、まだ日本ではあまり知られていませんでしたが、同年公開の「告発の行方」や1991年公開の「羊たちの沈黙」でアカデミー賞や
ゴールデングローブ賞の主演女優賞受賞で一気に大ブレイクし、一躍大女優の登竜門を駆け登り、何か置いていかれたような寂しさを感じ
たものでした。

　ブレイク前のジョディ・フォスターが演じるこの映画では光り輝く青春の１ページに一陣の風が吹き抜けるような爽やかさと切なさで胸が締
め付けられそうになります。

　野球少年のビリーは６歳年上の魅力的な従姉ケーティからボールの付いたペンダントがプレゼントされ、ペンダントを一生身に付けて野球
の道を目指すよう約束しますが、ビリーは初体験の女の子ロビンにペンダントを渡してしまいます。
　14年後、野球を目指す道に挫折し、今ではウェイトレスと同棲中のビリーの元にケーティの自殺の知らせが入り、帰省の途中でケーティとの
想い出が走馬灯のように回想されていきます。この辺りは「ニュー・シネマ・パラダイス」に通じる所があります。

　ビリーは14年後のロビンからペンダントを取り返し生前の約束を果たすために再び野球の道に進む決心をします。そして、ビリーは二人だ
けが知る秘密、生前に彼女が望んでいたことを遺言に従い実行に移します。
　この映画開始時とラストに、この映画のタイトルを象徴するような少年時代のビリーと14年後のビリーによるホームスチールの場面が映し
出されるのが印象的です。

　そして、劇中では古き良き時代のアメリカを象徴するようなオープンカー等が登場しますが、その背景に、ザ・エブリィ・ブラザーズの「夢を見
るだけ（All I have to do is Dream）」、そして、フォー・シーズンズの「シェリー（Sherry）」、マーベリッツの「プリーズ・ミスター・ポストマン
（Please M.R Postman）」等、60年代のオールディーズが流れ、その懐かしさに涙が出そうになってきます。
　この映画は日常生活に追われたような時にリフレッシュしてくれる一服の清涼剤のような作品です。