いつも楽しく読み味はってゐるさくらももこの絵日記シリーズを久し振りに手に取りました。二十年分位は既に読んでゐますが、最近の分のアマゾン・レビューではマンネリ化で面白くないとの酷評ばかりで本書への期待感は少なかったです。今回は、東日本大震災の頃の作品で、当時の動揺と狼狽が端々から読み取れ、繊細な感性が伝はって来ました。今までお氣楽ちゃらんぽらんに見えた部分は、細やかな感受性を面白をかしく演出、表現してゐたのかもしれないと私は思ひ直してゐます。この辺りの感覚は、海外での大反響イベントである香港のちびまる子ちゃんイベントにもわざわざ現地にまで来てゐるのに中々会場に近づけない勇氣のない話もあり、少々驚くばかりであります。他には、浅草の酉の市に行って縁起物に感動して八つも買ひ求めて人に配り、更には自分で縁起物を描き作ってしまふ話やとぼけた父ヒロシの酒飲み楽しみ話も悪くないなあと感じました。併し、本書絵日記シリーズに続く次の巻は刊行されてゐないのは、何とも残念な限りであります。兎も角今までの絵日記シリーズ作品には本当に有難うございました。