ハリウッドの友人が初めてのノミネートのアカデミー賞で、いともたやすく受賞してしまったそのスピーチで、開口一番「ロジャー・コーマンにありがとう！」と言い出して爆笑してしまった・・・おいおい、普通映画関係者にありがとうだろうが！そもそもこの映画ロジャー・コーマン全然関係ないし・・・。しかし、そこはできたもの共同受賞者の嫁さんがしっかりフォローしてくれてましたが・・・こうも人を狂わせてしまうのが、まさにロジャー・コーマンの魅力であり、呪縛といえるだろう。
映画はまだ生きているのにすでに伝説と化しているロジャー・コーマンの半生を６０年代、７０年代の青春時代を狂わされて、今や大物俳優、監督になってしまった人たちとのインタビューを交えながら語ったドキュメンタリー。
しかしまぁ、だれもが知っている大物俳優や監督の世に出るきっかけを作ったことを引き合いに出しながら語られるロジャー・コーマンだが、これはファンとしてはなんとももどかしい。失礼だ。本多猪四郎が黒澤明の親友であることを引き合いに出しながら、「ゴジラ」が好きなことを正当化するような感じだ。
ロジャー・コーマンの凄いところは出世した影響下にあった人々が監督、俳優、脚本家などなどにはなりながらも、誰も彼と同じ道を歩もうとしなかったことだろう。なれやしないのだ・・・いや、それともなりたくなかったのか・・・？
今朝、ジェームス・ホーナーのいきなりの訃報に涙した。ネットの訃報のニュースはホーナーを「タイタニック」や「アバター」の作曲者と紹介しながらも、このルーツはキャメロンともども、コーマン下積みにあり・・・と報じていた。ただのニュースなら「タイタニック」で事足りるところを、わざわざコーマンのことを言及する・・・コーマンの呪縛はこんなところにもあるのだ。