「禁断の惑星」は1956年公開のSF映画ですが、当時は7歳であったため視ることが出来なかった映画の一つです。
　この映画の公開の翌年あたりから、映画内に登場するロボット「ロビー」のゼンマイ仕掛けで二足歩行するブリキの
玩具が売り出され、これはフラフープ、ダッコちゃんに次ぐ人気商品となりました。

　映画同様、歩きながら二本のアンテナがクルクル回り、胸の透明セルロイドの窓の中では火花がパチパチと飛び散る
もので、箱の口絵には映画のポスターと同様の女の子を抱えたロビーの絵が描かれていました。
　子供達の間では、この玩具を50年位保存しておくと凄い値打ちが出るのではないかと話し合っていましたが、「お宝
鑑定団」では高額な評価額が付いていて驚きます。

　この映画は約60年前の作品であるにもかかわらず、イーストマンカラーの美しいシネマスコープ映像が堪能出来ます。
　映画中のロビーは1950年に発表されたアイザック・アシモフのSF小説「われはロボット」内で示された、人間への安
全の確保、命令の服従、自己防衛のロボット三原則に基づいていて決して人間に危害を加えませんが、この三原則は後
の「鉄腕アトム」や映画「アイ・ロボット」でも引き継がれています。

　この作品の特長は何といっても、まるでシンセサイザーのような劇中内で流れる神秘的なルイス・バロンとビーブ・
バロンによる音楽ですが、当時としては先進的な電子音を使用し、音の周波数を変えていく実験的なものでした。確か、
サウンド・トラック盤CDが発売されていたと思います。

　20年前に惑星「アルテア4」の調査に旅立ったベレロフォン号の捜索に向かった宇宙連邦艦「C-57-D」のアダムス艦長
は生存者の言語学者モービアス博士とその娘アルティラを発見しますが、博士はこの惑星は危険であるため、帰還する
よう勧めます。

　博士は言語学者であったため、古代のクレール人の言語を解読のうえ文明遺産を発見し、形成力育成機であるIQ増幅
機でクレール人の知識を獲得してロビーを製造したのです。しかし、過去のクレール人が既に無限のエネルギーを産み
出す動力装置の継電機を開発し、脳の電磁波だけで操作してイメージを具現化することに成功していたことを博士は隠
匿していたのです。

　しかし、この装置には欠陥があり、クレール人が持つ潜在的憎悪が具現化され怪物「イド」が現れてクレール人文明
が滅んでいたのでした。
　宇宙船は姿の見えない怪物に襲われますが、これは博士の潜在的憎悪により現れた「イド」で、博士は自ら命を落と
すことになり、惑星「アルテア4」の自爆スイッチを押します。
　劇中では、アルティラ役のアン・フランシスの様々なファッションを楽しむことが出来ます。
　この映画はSF宇宙映画の礎となった作品ですが、その面白さは現代でも決して色褪せない素晴らしい作品です。