過剰修飾や冗漫な美辞麗句なく、事実と分析をシンプルに記述しているのでその面では読みやすいです。
しかし肝心の文章内容は言葉の足りない部分が多々あり、別のベクトルでわかりにくいです。

近代ヨーロッパの多数の国が絡む外交関係を語るという内容上、読み手に状況把握を明快に示すことが書き手として求められると思いますが、本書は所々主語が抜けている部分があり、読み手の誤解や戸惑いを生みやすいと思います。

内容的にも説明不足により、読み手の体系的な理解の妨げになっていると思います。
一応注釈がページ上方に添えられていますがほとんど気休めです。
第一ページ構成からして無駄に字が大きい上に余白が多すぎます。
この情報量なら文庫サイズで十分であり、それに伴い値段を下げることも出来たと思います。

でも一番肝心なビスマルクについての記述や分析は筋が通っていて説得力があったので総合的に見れば悪い本ではないと思います。