デビュー40周年記念アルバム。2枚組で3150円とは驚きの価格です。
5月26日にサントリーホールで40周年記念コンサートがありました。
その日のステージはピアノソロ→QUARTET→オーケストラの流れでしたが、
このアルバムはジャズバンド、ピアノソロ、オーケストラという構成になっています。

1枚目は彼のパリ時代を中心にジャズの演奏ばかりです。
いずれも最近のステージでは演奏されることの少ない曲で、
私がこれまでの演奏会で聴いたのは「チトン通り11番地」のみでした。
現代音楽を学ぶかたわらジャズに夢中だった若き日の加古さんがうかがえます。

2枚目は「ポエジー」他のヒット曲が15曲も入っています。
やさしく語りかけるピアノもあれば壮大なオーケストラ曲もあります。
どれもが静謐のなかに純度の高い美しさを秘めていて、聴くたびに心洗われる思いにとらわれます。
彼が40年かけて描いたのは、自然であり、歴史であり、街であり、人々の永遠の営みでした。
この愛すべきものを大切にしたいとの思いが聴く者の心の内にしみこんでくるのでしょう。

「2枚のアルバムにどの曲を入れるか、ずいぶん悩んで結局は友人のプロデューサーに任せた」と
5/26のコンサートで加古さんがお話になっていました。過不足のない見事な選曲だと思います。

記念コンサートの終わりに彼は「これまで好きな道を歩めて私は幸せでした」と語り、
会場はスタンディングオベーションで応えました。
加古隆さんの音楽活動がこれからも長く続くことを私は願っています。