本作は全編マンハッタンで撮られている。多くの日本映画では必ず
日本パートが挿入されるのだが、今回はマンハッタン＆ブルックリンのみ
であり、ハリウッドライクな作りだ。

石橋杏奈は「きみの友だち」が素晴らしかったが、今回も母親の死去で
半ばむりやり父親の住むマンハッタンに連れてこられた高校生役を
活き活きと演じている。ちょっと地味目であるが（笑）、ホリプロの推す
女優だし、今後主演作も増えていくだろう。
英語のシーンもダイアログコーチが付いたようで、上々の感じだと思う。

海外ロケ作品でいつも思うのは、アメリカ人俳優たちの質の高さだ。
映画が国の主軸産業であり、俳優と名の付く人は掃いて捨てるほどいる。
こういう自国じゃ公開されない作品であっても、これだけの人材が集まる
のだから奥が深い。

日本人は日本人社会の「しきたり」「ルール」を守って・・・という発想は
テーマとしては面白いが、最後まで持続しなかったのが残念。
最後はかなりヘビーだが、日本人学校の描き方は「キャンキャン」していて
ブルックリンのそれは重たい。マンハッタンは数日しか滞在したことが
ないのだが、あんな可愛い子がブルックリンをひとりウロウロ・・・というのは
やっぱりマズいんじゃなかろうか（笑）。

脚本が表面的なところに止まっており、もっと日本村とマンハッタンの「差」
を詰めていけば良い作品になったと思う。
終盤の殺人事件なんて、普通はあのまま警察から帰れないし、日本人村からも
追い出されてしまいそうだけど・・・。ホンは煮詰めるべきだった。

特典映像は予告編しか収録されていないのが残念。
せっかくのオールマンハッタン撮影なのだからメイキングは観たかったなあ。
また記者会見もＹｏｕｔｕｂｅにはアップされているので、こちらも収録して
欲しかったところだ。星は３つです。