あの子を探して [DVD]
おもしろかったのは、代用教員であるミンジがまるでやる気のない先生だというところです。ミンジは報奨金ゲットのために生徒の未来や将来も考えずに一途に行動する、そのしたたかさと自己チューのところが現代中国を象徴しているなーと思いました。そして、その表情がまた独特なのです。可愛くない、素直じゃない、目つきが悪い、能力がない、短気である、とまあ、さんざんないわれ方ですが、映画はこのミンジのキャラでなければおもしろくはならなかったはずです。タイトルからして、迷子探しの「お涙頂戴」モノかと思っていたので、この予想外の設定には思わず引き込まれました。そして、とうとう、ミンジのTV出演の場面には、ムググッときたのです。それもこれも、ミンジの要領悪すぎの3日間がミンジのこぼれる涙でカタルシスとなり、その涙に呼応する迷子のホエクーの表情がものすごかったからです。現代日本では絶滅したホエクー的少年は、まだ、中国にはいるのですね。寄付金まで手にして帰村するくだりにはやや戸惑いを覚えましたが、エンディングのチョーク一文字の場面は、非漢字文化圏(ヴェネチア)の人間にとっては神秘的な感動すらあったでしょうね
「初恋のきた道/あの子を探して」オリジナル・サウンドトラック
ほぼ同じ曲のアレンジが大多数ですが、はずれが無い。また何度聞いても飽きない、数少ないサントラです。映画の素晴らしい映像、世界観が浮かび上がり、感動が蘇ります。この映画を見て感動した方はもちろん、音楽による癒しを求めている方にもぴったりだと思います。全編で笛など中国の楽器が使われていることも魅力です。
佐々木新一「あの娘たずねて」
佐々木新一「あの娘たずねて」
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