６４年発表の１ｓｔ。キンクスはシングル「Long Tall Sally」でデビュー。セカンド・シングル「You Still Want Me」を経て３ｒｄシングルの７．が全米７位／全英１位を記録したことを受けてシェル・タルミーをプロデュースに迎えて本作を制作／発表している。メンバーはレイ・ディヴィス (vo、g)、デイヴ・ディヴィス(vo、g)、ピート・クウェイフ (b、vo)、ミック・エイヴォリー (dr)の４人。オリジナルは先の７．を含めて全１４曲中６曲で、残りはＲ＆Ｂカヴァーなど他人の手による楽曲だが、同時期のビートルズやストーンズらなどと同様のスタイルの作りである。後のイメージで聞いても全く違和感は感じられないが、それでもストーンズ同様にかなり黒っぽい雰囲気が感じられる尖った演奏はこの時代の魅力であろう。ロック系の書籍などで良く目にする“キンキー・サウンド”なるスタイルがこの時期の彼らを表現するのによく使われるが、本作を聞く限りではストーンズとほぼ同格／ほぼ同様の演奏スタイルと思って良いと思う。ただし先の７．などオリジナル曲のカッコ良さではビートルズを凌ぐほどで、特にこの曲ではリフのカッコ良さは特筆物である。（あまりのカッコ良さからギターをジミー・ペイジが演奏しているという説すらあった。）とにかく本格的なＲ＆Ｂ路線の作品であり、この種の多くの凡庸なグループ勢とは頭一つ抜きん出ていたことは容易に理解出来ると思う。
本作はＣＤによる再発が何度も行なわれているので様々なバージョンが存在するが、近年のものは同時期のシングルのＡ／Ｂ面をそのまま追加したものがあるので、そちらを選ぶと便利である。