これの特徴はオリジナルアルバムにもベストアルバムにも未収録だった曲が聞けること。Disc1の18曲目「風のNativeLand」はシングル「ＶＯＩＣＥ」のカップリング、Disc2の15曲目「衝撃のベクトル」はナリス化粧品のＣＭソングだったシングル曲で、いずれもベストアルバム初収録。またDisc1の8曲目「蒼夜曲〜セレナーデ」はシングルヴァージョンであり、これがベストアルバムに収録されるのは1984年発売の「BEST SELECTION」以来。ファンにとっては待望の１曲と言えるかも。他にはKBS京都でお馴染みの「My Shiny Town」、シングル「蒼夜曲」のB面だった「SWEET CHRISTMAS SONG」も一部のベストアルバムにのみ収録されていたという経緯があり比較的珍しい。

定番曲では他のアーティストへの提供曲のセルフカバーや、デビッドフォスターのアレンジによるTOTOのメンバーの演奏が聞けたり、ポニーキャニオンからの発売でありながら初期の東芝EMIでの音源である「マイピュアレディ」「冥想」も収録されていて全３６曲ということを考えると、とりあえず１枚ベストアルバムを買ってみたいという人にもお勧め。もちろん、前述のレアトラックがあるのでコテコテのファンは当然買いです。ちなみにエンジニアのクレジットがあることから推察すると、今回マスタリングは新しくなっており過去のベストアルバムよりは若干音質が向上している模様。ジャケットと歌詞カードに工夫がない点を差し引いても割とお買い得でしょう、という評価です。ただし、ポニーキャニオンにはあくまでもオリジナルアルバムをデジタルリマスタリングで再発することを望むものであります。