人造人間キカイダー (1) (秋田文庫)
子供のころに見たテレビ特撮版と違って、とても暗く重い内容なのに驚きました。(小さかったのでいまひとつ曖昧なのですが)テレビ特撮版では、不完全な良心回路(ジェミニイ)のため、ある音楽(旋律?リズム?)を聞くと苦しみだすキカイダー・ジローが、それにも負けず悪人どもをやっつける。「不完全で苦しむ」あたりは新鮮に思えたものの(キカイダーごっこをして遊ぶとき、よく苦しむ真似をしたのを覚えています)、やっぱり普通によくある特撮ヒーローものの一つでした。
はじめて読んだ原作のマンガでは、悩み苦しむジローの姿が多く描かれていて、テレビ特撮版とは比べ物にならないほど「悩み・苦しみ」の部分が掘り下げられています。自分の不完全さに悩み、同じ人物から造られた兄弟ともいえるロボットと戦わねばならないことに悩み、人間の女性に寄せる仄かな思いに苦しむ人造人間のキカイダー・ジローの姿は、読み手に共感を覚えさせるとともに、ただのヒーローものとは違って物語に深みを与えています。
後半、キカイダー01(ゼロワン)が登場するあたりからアクションが中心になり、これはこれでおもしろいのですが、ジローの悩む姿が少なくなってくるのが(ジローには申し訳ないけど)残念です。
自然破壊への警鐘、機械文明への懐疑、悩み苦しむ主人公など、石ノ森作品にはよく見られる主題が、この『人造人間キカイダー』にも見られますが、決してマンネリなどではなく、『仮面ライダー』『サイボーグ009』に並ぶ、作者の代表作です。
空想科学読本6.5 (空想科学文庫)
空想科学読本6と同時刊行されたこの作品。
6と比べるとのびのびさが明らかに違います。
やはりリアルタイムで感じてきたものへの愛着ということでしょうか、
ネタ数は少ないものの、柳田節炸裂の一冊です。
「次は7.5を・・・」なんて書いているとおり、この本には原点回帰というか、
1の頃の自由奔放さが見て取れます。6も面白いことは面白いのですが、
どうしても「書かされている感」が否めない。
その点、自分の欲望のままに(?)書かれた6.5の方がシリーズ通して読破してきたファンには
好意的に受け取られる一冊なのではないでしょうか?
人造人間ハカイダー コンプリートDVD
ついにDVD化!劇場版でカットされたシーンを追加し、より深いドラマが楽しめるようになっていた。なんとなくア・ホーマンスを思わせる無国籍な近未来での正義とは何か?自分の意志とは何か?と言ったことを問い掛けているストーリー展開は井上脚本らしく、平成ライダーのプロットになっていると思う。やはり雨宮・井上コンビは最高である!ぜひ未見の方にもみてもらいたい!また、キャスティングに関しても後の助さんである岸本や宝生舞、その他ヒーロー好きをにやりとさせるカメオ出演陣もよく、またミカエルの最期はアレを思わせるものでした、、、
人造人間キカイダー THE ANIMATION Vol.6 [VHS]
まるで姉弟の恋愛のようなミツコとジローの関係など、原作よりもさらに石ノ森章太郎のエッセンスが濃厚なシリーズの最終巻。ハカイダ-、そしてダークとの戦いの結果は(最終決戦時は原作のあのラストを連想する場面があります)。そして、ジローは果たして「人間」になれるのか、最後の彼の選択は幸せだったのか…ラストの場面があと数秒長ければもう一つ星をプラスしても良かったです。