欲望という名の女優 太地喜和子
ノンフィクションというもののすごみを感じさせる1冊です。
人間は多面的で矛盾していて見る人によってまったく違った姿を見せる。にもかかわらずなお、その人ならではの色というものがあることを、演じる(別の人間になる)ことを生業とした女性を通して、その意味を肌に食い込むように伝えてきます。
歌舞伎界の家系・役者 梨園のひみつ (Book of dreams)
歌舞伎役者の系譜は襲名披露の時、どういう順番に「出世魚」するんだ?といまいち飲み込めていなかったのですが、この本にはそういった「家」の系図がわかりやすく書かれていてよいです。
現在活躍している、若手と有名な役者さんについてプロフィール得意な演目など紹介されています。コンパクトにまとめられていて初心者は重宝するでしょう。
ただ残念なのは、あきらかに女性向けの本の作り。表紙紙が桜色では男性は手を出しづらいのでは?内容も女性を意識して書かれている傾向にあります。
ただ、歌舞伎座(私はいつも一幕見)のお客さんを見ると圧倒的にマダムが多いんですね。「成駒屋!」と声をかける芸に厳しいおじさん達が3階席や一幕見には多いですけれど。
男性のファン層をつくるような、こういったてごろな解説本があるといいですね。だから星4つ。
とりあえず、女の子がこの本をもって、彼氏をさそってデートなどいかがでしょうか。
ニッポンの伝統芸能
友人に狂言の舞台に誘われて、歌舞伎は行き慣れていますが狂言は全く知らないので、
このまま楽しめないと思い。予習代わりに購入しました。
歌舞伎は代表的な歌舞伎絵や家系図、舞台写真などを紹介しながら、個々のお家芸を紹介。
歌舞伎の内容はやや薄いです。
能や狂言は面や所作の意味、舞台の意味などを分かりやすく解説してあり、素人でも理解できました。
写真で踊りの動きをコマ送りにして説明しているページはさらに分かりやすかったです。
和楽器や文楽のページもあり、一通り予習できました。
難しい伝統芸能の解説書でも、この本の内容なら
ソファーで寝転んで読めるような気楽さがあります。
雑誌感覚で購入して、肩の力を抜いて楽しめる一冊です。
歌舞伎名作撰 白浪五人男 浜松屋から滑川土橋の場まで [DVD]
尾上菊五郎の弁天小僧に、初代尾上辰之助の力丸は見ごたえ十分!笑いもしっかり。ただ残念なのは、大向こうで女性が叫んでいること。女性蔑視ではないが、大向こうは関東では男性がやるもの。(この作品は歌舞伎座で収録)歌舞伎役者が全員男性なので女性の声は雰囲気が崩れると言われています。やはりこの作品も例外ではなかった。そこだけが惜しまれます。
NHK大河ドラマ総集編 源義経 2枚組 [DVD]
画質・音声の劣化、ぞんざいな編集は否めませんが、それが気にならなければ、大河ドラマの貴重な映像資料として十分楽しめます。
白黒映像ながら、合戦シーンはとても良く出来ています。屋島の戦いで、コントを彷彿とさせる平景清と美尾屋十郎の一騎打ちや、壇ノ浦の戦いでの、主役を食う平教経の戦いぶりや、平知盛の最後は、後年の大河ドラマ『義経』のような媚びた所はなく、役者の気迫が伝わってきます。
ラストの義経主従の大殺陣も見物で、弁慶の立ち往生が霞むくらい壮絶です。平泉の炎上や西国へ向かう一行を阻む平家の怨霊登場するシーンでチャチ(笑)な特撮と合成を楽しめます。
頼朝も冷徹なリーダーではありましたが、個人として、正直すぎる弟・義経を心配する兄でした。
NHK大河ドラマと言うよりは少年時代活劇の要素が強いですが、それなら後年の『義経』はバラエティの延長でしかありません。