日本の歴史的演説
歴史上、優秀な人物とされながら、なぜか不遇だった人がいる。
逆に、今日からみて疑問符をつけたくなる人物が、なぜか当時は、
カリスマだったこともある。
それらを説明する一つのカギは、やはり話し方であろう。
高橋是清や中野正剛は、その話し方を聞くと、
なんとも聞き取りにくい、妙な話し方をしている。
人物や見識には大いに評価すべきところはあったが、
両者とも最後に非業の死をとげた。
逆に、松岡洋右や近衛文麿は聞き惚れてしまうと言っていい。
内容を十分に吟味しなければ、彼らこそ困難を解決できる
英雄だと思いたくなるような見事な話しっぷりである。
だが、その後の彼らが導いた結果は言うまでもない。
今の時代も、なぜか正しい意見が認められず、
間違った意見が幅を利かせることはあるだろう。
歴史上の人物の話し方や声の質に触れてみると、
なぜそのような理不尽なことが起きるのか、
その一端を知ることができるのではないか。
その意味でもこれは貴重な音声資料を集めたCDであり、
値段以上の価値がある商品である。
大隈重信が語る「政治の心学問の心」 (公開霊言シリーズ)
本書は大隈重信の公開霊言をまとめたものである。
大隈重信と言えば、立憲改進党を設立し、総理大臣にもなった
初めて政党内閣を組閣した人である。また、東京専門学校
(現・早稲田大学)を創立し学長を務めた人でもある。
つまり、政治家でありながら教育者でもあった方なのである。
学校設立と言えば、慶応義塾を作った福沢諭吉を思い浮かべる
が、福沢諭吉は教育者であるが政治家ではなかった。その意味で
言えば、より多くの仕事をなした人と言ってもいいだろう。
本書の中で大隈重信はスケールの大きな政治論と教育論を
展開している。現代の諸問題についてもかなり勉強されて
いるようで、日本が向かうべき方向性を指し示していると
言っても過言ではないだろう。
そして幸福実現党が向かうべき方向についても言及している。
あとがきにもあるように方向性はハッキリと見えている。
それは宗教改革、政治改革、教育改革である。
そして新しい経営思想を打ち出して日本を発展させることである。
福沢諭吉による「新学問のすすめ」も良かったが、本書はそれをも
凌ぐ奥深い硬派の内容である。
是非多くの政治関係者並びに教育関係者に読んで頂きたい良書である。
元勲・財閥の邸宅―伊藤博文、山縣有朋、西園寺公望、三井、岩崎、住友…の邸宅・別邸20 (JTBキャンブックス 文学歴史 26)
京都に建つ山縣有朋の無鄰菴、明治村に移された西郷従道の洋風邸宅、江戸東京たてもの園に移築の三井八郎右衛門邸……。
明治の元勲の邸宅をはじめ、贅を尽くした財閥の別邸、さらに大正期の政治家の旧居など、現在も残る「貴顕の館」20ヶ所が美しい写真で紹介されています。
文章も建築主のエピソードや蘊蓄がバランスよく盛り込まれ、読みやすく仕上がっています。
この手の本にありがちな、こまごまとした建築意匠ばかり取り上げるのではなく、全景や周囲のロケーションもしっかり紹介されており、大変好感が持てました。
よい目配りがなされた一冊だと思います。