晴天 LIVE IN TOKYO 1989 [DVD]
ずっと待たされ続けた本作待望のDVD化。第二期のLIVEとして色々言われる事はあるようで。
ヨージ・ヤマモトのコスチュームとカメラワークがマイナスの意味で時代を感じさせるのは仕方ないが、TBSオンエア素材をリマスターもしないようではいけない。レコード会社がトノバン追悼で慌ててリリースした為、特典等新しい付加価値もない。
ヴォーカルは差し替えられ、メンバー全員が主役とはいえ大村憲司らサポート陣を全然撮影していないのはいただけない。
だが、ブライアン・フェリーのPVから抜け出してきたような桐島かれんの存在感は、加藤和彦の選球眼が間違いない事を存分に証明している。「ダシール・ハメット&ポップコーン」は高校時代ミステリ好きだったトノバンらしい超ポップナンバーではないか(作詞:安井かずみ)。「タイムマシンにおねがい」はラストでかれんが絶叫するこっちの方が絶対良し。トノバンが一歩引いている分、無骨な小原礼がバンドを引き締めている点も大きく称えたい。第三期では曲は文句が無いが、木村カエラはヴォーカル力があるのに、特にLIVEでバンドの一員というよりスペシヤル・ゲスト的な位置付けが嫌だったし、奥田民生は別にいらないだろうとも思った。
そこがこの第二期との大きな違い。
彼らは大物にありがちな仰々しさが希薄なところがイイのだ。(この後の再生YMO『テクノドン』自家硬直ぶりと比べるとよくわかる。)『天晴』は89年という時代・初めての再結成という状況からああいう無責任POPになったのだと思いたい。いずれにせよミカ・バンドは映像素材が非常に少ない。末期状態のEMIジャパンだから本作の寿命もきっと短いだろう。買える時に入手しておいた方がいい。
サディスティック・ミカ・バンド(初回限定版 スペシャルエディション) [DVD]
本編を見終わったとき、非常に満足の行く作品でよかったです。観る前は72分という時間は短いかなと思いましたが、ちょうど良いと思いました。特典DISC2はやはりおまけの感が否めません。ちなみにライブDVDとして観てはがっかりすると思いますのであくまでミカバンドのドキュメンタリとして観ると良いと思います。
黒船
1980年前後にAMラジオで放送されていたヒップな番組「スネークマンショー」。終わり近く、伊武雅刀が曲名を紹介するバックで流れていたのが本作に収録されている「黒船#1」でした。この番組らしい的確な選曲で、後に知るまでは日本のバンドの曲だとは想像できませんでした。
アルバムのコンセプトが抜群のアレンジで語られる「墨絵の国へ」、既に恐ろしいくらいテクニカルで情熱的なギターが聴ける「何かが海をやってくる」、そして「タイムマシンにお願い」から「黒船組曲」に至る流れはほとんど完璧。「黒船#1」は変拍子を使った高橋ユキヒロのドラムスと高中正義のギターがとにかく格好いい(この音はもしかしたらテレキャスターか?)。カルロス・サンタナがデイブ・ギルモアのような演奏したと言ったら信じてしまいそうなくらい素晴らしい「黒船#3」は、まさに高中正義氏による泣きのギター演奏の金字塔。日本の新たな夜明けを見事に表現してみせています。旧B面はバラエティーに富み、また高中氏のファンキーなバッキングが随所で光りますが、加藤和彦氏の大和歌こころ溢れる「四季頌歌」が最大の聴きどころではないでしょうか。この時に必要とされたメンバー、楽曲、そしてプロデュースの運命的な出会いがこの作品の音を不朽のものとしています。必聴盤!
天晴
生まれて初めて買ったCDアルバムが本作です。
当時1の「Boys & Girls」が自動車のCF曲になっており、格好よさに引かれて買いました。
改めて大御所ばかりになったSMBの面々です。加藤和彦、高中正義、高橋幸弘、小野田レイに桐島かれんを二代目ボーカルとして迎えた「天晴」はまさに天晴れな出来で、幸弘ファンのボクとしては「薔薇はプラズマ」「42℃のピクニック」がお勧めですが、小野田さんの「賑やかな孤独」のシュールさも捨てがたいですね。
なお、
ボーカルの桐島かれんの兄は江角マキコの元旦那の桐島ローランドです。(笑)
レコード・コレクターズ 2010年 08月号
こういう企画に自分の好きなアーティストが入っていないと、たいていの人はがっかりすると思います。
だから、批判も多いのでしょう。ただ、やはり、私は専門家の意見はそれなりに尊重すべきだと思います。
素人のひとより、かなり多くの枚数を聞き込まれていると思うので。わたしも、70年代はちょうど中学の頃ですが、
実際聴いていたのは、小椋佳の“彷徨”とか“残された憧れ” 風、井上陽水、ユーミン、グレープそんなところ。
きっと多くの当時の日本人もそんな感じだった事でしょう。ユーミンや氷の世界以外は、ベスト100に入っていませんが、それはそれで良いと思う。
はっぴいえんど、シュガーベイブ、ジャックスなどは後の時代に再発見=評価されたのですよね。
当時聴いていた人の認識は素晴らしかったでしょうね。ライブに行けた人はラッキーでした。素直にそう思いますね。
こういう雑誌は私たちに対する“啓蒙”の意味もあるのでしょう。素敵なアーティスト、アルバムとの新しい出会いがあるかもしれない。
そういう、前向きな気持ちで読むと色々と伝わってきます。
ちなみに、この雑誌の中で、唯一ユーミンの“ひこうき雲”は当時よく聴いていました。天才少女の登場が眩かった。
“今の”私が1番好きなのは、鈴木慶一“火の玉ボーイ” はちみつぱいの“センチメンタル通り”と高田渡の“ごあいさつ”ですが、
こういう雑誌がないと巡り会えなかった逸品と思います。