がきデカ 1 (少年チャンピオン・コミックス)
「君は犬のくせに偉い!」「ワン!」で有名な「栃の嵐」が表紙に書かれている。ここから伝説は始まった。ジュンちゃん、モモちゃん、西城君・・。それにこまわり君のお父さんとお母さんが面白いですね。特にお父さん、強烈ですわ。こんなアホな漫画を毎週書けるなとなかば呆れながら毎週毎週楽しみに読んだもんです。突然変身する「シロクマ、クロクマ」・・・。それまでにない小技満載です。ここにはそれまでになかった様々なアイデアが詰まっております。そういう意味ではアホ・バカ漫画の金字塔。最高です。栃の嵐もユニークな犬ですが、他にもややこしそうなウサギが出てきたり、もう魑魅魍魎の世界が繰り広げられております。是非みなさんもご一緒に。
週刊少年チャンピオン40th 創刊40周年記念特別編集
70年代、週刊マンガ雑誌にイキオイのあった頃
オレは少年だった。
そして、ジャンプ、サンデー、マガジン、チャンピオン、キングを
読み漁った。
70〜80年代当時のチャンピオンは、どちらかというと
不条理と不良テイスト度が高い雑誌で
どちらかとキングに続くマニアックな雑誌だった。
あの頃は、吾妻ひでお、山上たつひこ鴨川つばめのギャグに洗脳され
ジョージ秋山の「花のよたろう」に郷愁を感じ
ブラックジャックの「人間愛」にジーンとさせられ
永井豪にエロを感じていた。
あの当時の作家に、あの当時の絵柄であの当時のテンションで
新作を描いてくれという、そもそものムチャぶりに
見事にこたえてくれている先生方の粋さに感激させられます。
柳沢きみお先生は、完全に「大市民」の絵になっちゃっていて
新一や世界ちゃんは昔の面影が全くないところが逆に面白くw
「750ライダー」は全く当時と同じ絵で
あの委員長や光、マスターがあのまんまで登場。
ついに委員長とタンデムで海へ行くデートシーンが見られます。
しかもノーヘルでw
委員長の女友達のおさげ髪が丸だけで表現されているあの感じもそのまま!
さらに「らんぽう」「レッツ、ダチ公」など
あの当時、少年だった大人にはたまらないラインナップです。
巻末に掲載されている
手塚治虫先生の執筆姿は、「マンガの神様」たる所以の秘密が
すざまじい絵柄で表現されています。
あの青木雄二調の、下世話な感じの絵で描かれている
小太りなオッサンにしか見えない手塚先生が
完成原稿を渡す時の笑顔が、カワイ過ぎて
この作品は、この絵柄だからこそのリアリティをもって
手塚先生の苦悩と業を改めて感じさせてくれます。
「マンガの神様」と呼ばれても
いつも若いマンガ家に敵視感を持ち
つねに第一線を走りたがる現場主義の男だったスゴイ男だったんだと。
「神様」は、本当にスゴイです。
最後のこの作品が読めただけでも
この本の価値はあると思います。
中春こまわり君 (ビッグコミックススペシャル)
38歳、妻と小学生の息子一人の家庭を抱えたサラリーマン・こまわり君の現在を描いた作品だ。
結論から言えば、かつての『がきデカ』のノリでこまわり君のギャグ連発を期待すると、その期待は
裏切られる。もちろん随所に昔を懐かしめるカットや今に置き換えたギャクも多々挿入されているが、
この作品はもはや単なるギャグ漫画のジャンルに留まらない、ある種の暗さを湛えた成熟した大人
の漫画になっている。
少年時代、ボクたちは『がきデカ』ワールドの中でこまわり君たちと生きていた。その頃は人の世が
これほど奥深いとは知らぬまま・・・。そんなボクたちが大人になって世の中というものを知り、日々
その現実と対峙している。そしてこまわり君も同じように成長をして、同時代を生きている。ボクらも
こまわり君たちも、もう昔の姿のままではないし、昔の姿に戻ることはないのだ。この作品ではその
現実から目を背けられないということを思い知らされる。
多分そのこと自体は良いことでも、悪いことでもないのだろう。ただ私はこの現実感、リアリティを
感じさせてくれる『中春こまわり君』という作品が自分の人生を記録した1ページのように感じられ、
ただただ愛おしくて仕方がないのである。