日米同盟vs.中国・北朝鮮 (文春新書)
「Show the flag」アーミテージ元国務副長官、「Smart(Soft)Power」ナイ教授、というアメリカの「知日派」の巨頭二人に春原(すのはら)記者が肉薄したインタヴュー集。
ルーピー鳩山内閣からギクシャクし始め、確実に対中、対露、対北朝鮮外交に悪影響を与えている、日米同盟とはそもそもどういう意味を持つのかをまとめる意味で大変わかりやすい本だ。
改めてよくわかったのは二人とも単なる親日家ではなく、あくまで「アメリカの国益のため」に日米同盟が重要なのだと強調している点である。たとえ片務的ではあっても。そして民主党政権になって、二人の心配は現実のものになる。「東アジア共同体構想」「アジア経済圏構想」の先は尖閣諸島問題、さらに北方領土問題。G2という言葉ももはや幻想のように聞こえるが、どちらの大国に頼るのかというと、現実には衰えたりといえどアメリカを選ぶのが現実的と思わせる。
日米同盟は米英同盟とは違う。アーミテージ氏は日本は九条を改正する必要はなく、解釈の範囲内で貢献可能という。現実にアフリカ沖で自衛艦が取っている行動は集団的自衛権行使に近い、とも。また、英国のように核を持つ必要はないし、「核兵器を持つということはそれ以上に通常兵器にもお金を使わなければならなくなる(ア氏)」ことは知らなかった。最近読んだエマニュエル・トッド氏の本では「(衰退しつつある)アメリカ帝国の影響から独立し、中国に対抗するするには日本も核武装を議論すべき」とあったが、日本の核武装化にはアメリカ(及びアジア諸国)に根深いアレルギーがあるのだろう。
近年の対日外交だけではなく、春原氏は太平洋戦争開戦の経緯、原爆投下の是非についてもつっこんだ質問をしているが、二人はアメリカの立場を崩さない。いわゆる「白人国家のドイツに原爆は落とさず、有色人種で実験をした」という通説については一蹴する。「ドイツはほぼ降伏する状態だったが、沖縄戦での日本軍の抵抗があまりにも凄まじく、このままでは米軍の被害が甚大になる。また原爆の影響があれほどまでとは想像できなかったのではないか」と擁護している。このあたりはリアリスティックである。
民主党政権の外交政策は理想から夢想、幻想のレベルになり、中国の台頭は他のアジア諸国からも「日米同盟を早く修正してくれ」と懇願されるまでになってしまった。次の政権がどういう対応を取るのかははわからないが、本書に提言されていることが一つの指針となる。
私はなぜ「中国」を捨てたのか (WAC BUNKO)
今や世界を席巻するスーパー大国の中国。しかしその実情は不安定と危険に満ちたものである。そのような実情の問題点を明確にし、愛する祖国を捨ててまで日本人にならなければならなかった苦悩が言葉の端端から感じられる本でした。日本人が国を憂いて絶望して中国人になるでしょうか?今に至る中国という国の本質を知る本の一つとしてオススメします。
沖縄から撃つ! 「噂の眞相」休刊、あれから7年
黒字の月刊誌、私が定期購読していた月刊誌『噂の真相』に元編集長岡留安則氏が、
7年前から住んでいる沖縄から書き送った沖縄と日本への口撃である。
民主党に期待し、裏切られていった沖縄。
前々から私も思っているが、現在の民主党政調会長前原誠司氏は、アメリカ追従一辺倒だということが露骨になってきた。
岡留氏によれば、前職の国土交通大臣兼沖縄担当大臣時代から。泡瀬干潟埋立工事再開、名護の基地建設賛成派や建設業者たちの密会、
そして、アメリカンルールの押し付けにほかならないTPP賛成など、こりゃ駄目だ。
岡留氏の話で注目したのは9電力のうち唯一原発に頼っていない、沖縄電力が、小型原子力発電導入の可能性を研究すると打ち出しているそうだ。
福島第一原発の事故後の話である。沖縄電力とアメリカの関係も怪しい。現在の知事、仲井真氏は、沖縄では誰一人知らぬものはないが、
元沖電の会長である。